2019年 9月 20日 (金)

還暦で原チャリ免許 野原広子さんに見えてきた別の世界

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   女性セブン(3月15日号)の「勝手気ままにオバ散歩」で、「還暦ライター」を名乗る野原広子さんが原チャリ(原動機付自転車)免許への挑戦記を書いている。

   18歳で上京して42年、野原さんは運転免許というものに縁がなかった。ところが、先日お父様が亡くなり、茨城県の実家に89歳の母親が残されたという。これで事情が変わった。田舎では車がないと何かと不便で、これまでは高齢ドライバーの父親が家族の移動を支えていた。その「足」を失い、せめて自分も原チャリくらいはと思い立ったのである。幸い、実家にはお母さんが数年前まで使っていた1台がある。

   18歳で普通免許を取った友人(65)には、「高校生が取るものでしょ?   年齢制限ないの?」と笑われた。それでも野原さんは「1200問   実践問題集」を開き、空走距離、幅員減少といった聞き慣れない用語と格闘する。受験前日には設問を順番に朗読し、間違えたところに付箋を貼ってまた朗読、という涙ぐましい努力を重ねた。

   ほとんど寝ないまま、鮫洲(東京都品川区)の運転免許試験場に向かう。視力検査に続いて、いよいよ30分間の学科試験である。

  • 免許を取ると交通標識に目が行くように
    免許を取ると交通標識に目が行くように

「約束ごと」に目が

   試験の結果はその場で発表される。

「机の一点を見つめ体中を耳にして聞く。3人目にわが受験番号を読み上げられたときは、うれしいというより、体中の力が抜けちゃった」

   体当たり取材が持ち味の自称「オバ記者」も、自分のことになるとしおらしい。16人の受験者のうち合格は6人で、何の不思議もないけれど筆者以外は10代か20代だった。

   それから何度も、免許を取り出しては眺める野原さん、「人は運転免許を持っている人と、持っていない人のふた通り」と思い始めている。どういうことか。

   これまで、道路交通法や交通標識にはおよそ無頓着だった。それが免許を取った途端、路上にまで描かれた諸ルールに目が行くようになった、というわけだ。

「この約束ごとの上で、人と車は動いていたんだなと、大げさに言えば、世の中、違って見えるのよ」
冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。
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