2020年 5月 27日 (水)

日韓共同で薬物依存の治療法を探る

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誰も治療法にたどり着けず

   フェンサイクリジンを使うと、脳内でドーパミンが増えることがわかってきた。ドーパミンは美味しいものを食べたときやセックスのときにも分泌される快楽物質だ。動物実験でレバーを押すとドーパミンがでる体験をマウスにさせると、餌(えさ)より快楽のほうが強いので、餌も食べずに、死ぬまでレバーを押す。それほどドーパミンがもつ快楽レベルは高いのだ。

   「世界中の研究者が、ドーパミンをターゲットに、治療法を発見しようと実験を試みました。何十年にもわたって試行錯誤されてきましたが、誰も治療法にたどり着けませんでした」(鍋島氏)

   その間、鍋島氏はフェンサイクリジンに関する論文を132本も書いている。その過程で注目したのは、人が学習したり記憶したりする働きに重要な役割を担っている「NMDA受容体」だった。

   NMDA受容体とは通常、カルシウムを適度に体に取り込んで、人に学習や記憶をさせやすいように働いている。ところが、フェンサイクリジンが入ると、その働きを邪魔して、カルシウムを取り込ませないようにする。そのため意欲や学習・記憶機能など認知機能に支障を来たすことになる。

   「フェンサイクリジンなどの強い薬物が体内に入ると、体の中にある物質が酵素で代謝されていく通常のプロセスがかき乱されることがあります。そうした『基軸のズレ』が一カ所で生じると、そこだけに止まらず複数のところでバランスが崩れてしまい、肉体・精神に異常を来たすことになります」(齋藤氏)

   清原氏は先のインタビューで、脳が一度快感を覚えてしまうと、自分の意思と関係なく、薬を使うことが最優先になってしまうと述べている。通常、家族や友人、仕事などが優先されていたものが、依存症になると薬物摂取が最優先されてしまう。代謝経路の基軸のズレが、生体の思考のズレにつながってしまうのだろう。

公益財団法人韓昌祐・哲文化財団のプロフィール

1990年、日本と韓国の将来を見据え、日韓の友好関係を促進する目的で(株)マルハン代表取締役会長の韓昌祐(ハンチャンウ)氏が前身の(財)韓国文化研究振興財団を設立、理事長に就任した。その後、助成対象分野を広げるために2005年に(財)韓哲(ハンテツ)文化財団に名称を変更。2012年、内閣府から公益財団法人の認定をうけ、公益財団法人韓昌祐・哲(ハンチャンウ・テツ)文化財団に移行した。

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