2018年 11月 18日 (日)

【震災7年 明日への一歩】日本発の災害支援を世界のお手本に フェイスブックジャパン・長谷川晋代表インタビュー

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   西日本豪雨、相次ぐ台風による水害、大阪と北海道での地震と2018年夏は大規模な自然災害が頻発した。同時に災害に対する備えや支援方法も、改めて議論となった。

   交流サイト(SNS)最大手のフェイスブックでは、災害発生時に活用できる機能の拡充を進めてきた。同時に日本では、国内で起きた大規模災害の被災地に、独自の支援を行っている。フェイスブックジャパンの長谷川晋代表に、支援に対する考え方を聞いた。

  • 長谷川晋代表
    長谷川晋代表
  • おなじみの「いいね!」を付けて
    おなじみの「いいね!」を付けて
  • インタビュー中の長谷川代表
    インタビュー中の長谷川代表
  • 西日本豪雨から100日目の日、岡山県真備町で行われたキャンドルイベント(写真提供:フェイスブックジャパン)
    西日本豪雨から100日目の日、岡山県真備町で行われたキャンドルイベント(写真提供:フェイスブックジャパン)

災害支援活動は「会社としての存在理由」

   ――単刀直入に、なぜフェイスブックが災害支援を行うのでしょう。根底にある考え方を聞かせてください。

長谷川氏 まず、フェイスブックはグローバルで「コミュニティーを応援して人と人の距離を縮める」をミッションに掲げています。インターネット上でつなげるだけでなく、同じ目的意識や課題、興味を持つ人が形成したコミュニティーを積極的にサポートします。

災害時のような危機的な状況に陥ったコミュニティーに対する復興支援や、被害を抑えるような「安全なコミュニティーの構築」も、会社のピラー(柱)と定義しています。災害支援活動は、私たちの「会社としての存在理由」なのです。

今年、フェイスブックが日本語版をスタートして10周年です。フェイスブックジャパンでは、この先10年を見据えて「どこに注力するか」討議を重ね、コミュニティーをつないで日本をもっと輝かせるために貢献する方法として、日本のさまざまな課題をテクノロジーやコミュニティーの力を使って成長の機会に変えていくと定めました。

その課題のひとつが、有事の対応です。残念ながら今後、日本で大規模な自然災害が起きる可能性は高い。過去も大規模災害を乗り越えてきた日本なら、それでも人と人とが助け合って被害を最小にとどめたり、復興を早めたりといった見本を世界に示せるポテンシャルを秘めている。フェイスブックが助け合いを促進するコミュニティーやテクノロジーを提供すれば、その可能性はもっと高まるでしょう。

   ――すでに多くのユーザーが、災害時にフェイスブックを活用しています。長谷川代表の目にはどう映っていますか。

長谷川氏 災害時のフェイスブックの利用に関して、「3本柱」で考えています。一番目が機能拡充、二番目が災害発生前の啓もう活動、三番目がコミュニティーや地方自治体との連携です。そのうち機能は、ユーザーの皆さんのフィードバックや使い方がきっかけでどんどん広がるケースがほとんどです。

一例が「セーフティチェック(災害時安否確認機能)」です。当時、米国のフェイスブックでインターンをしていた日本人が、東日本大震災で日本の友人に連絡できない状況で、「フェイスブックで安否確認ができたら」と考えて、一晩でプロトタイプを作り上げたのです。後日、正式な機能となりました。2017年には「コミュニティヘルプ」機能で、被災者が必要な物資や避難場所の情報を探したり、ユーザー側から提供したりできるようにしました。これもユーザーの実際の活用法を参考にしたのです。

私自身、1995年の阪神・淡路大震災で被災した経験から、情報を正確かつタイムリーに得るのがいかに重要かを学び、有事の際の人と人とのつながりがパワーを発揮することを実感しました。2011年の東日本大震災発生時はシンガポールにおり、遠隔地からのサポート手段が限られていました。そこで、地理的な制約を超えて支援ができる仕組みが必要だと気づきました。

災害時にフェイスブックを使って何ができるか

   ――今年3月、震災の被災地のコミュニティーに寄付をするプロジェクトを立ち上げましたね。

長谷川氏 「未来につなぐ、いいね!を贈ろうプロジェクト」です。3月1日~11日の期間、「くまもと友救の会」(熊本県益城町)、「つながろう なみえ」(福島県浪江町)、「阪神淡路大震災1.17希望の灯り」(兵庫県神戸市)の3団体の活動を紹介する動画をフェイスブックで公開し、再生回数は5万5000回以上となりました。

さらに「いいね!」やコメントでの応援が寄せられ、これを寄付という形で各コミュニティーに贈ったのです。4月に熊本、5月に神戸、8月に福島県浪江町を訪問し、それぞれ寄付金や相当額のグッズ贈呈のほか、各コミュニティーのニーズに合わせて最適な形で協力しました。

   ――災害時には善意の輪が広がる半面、インターネット上でのデマ拡散といった面も否定できません。フェイスブックとして、どのように取り組んでいきますか。

長谷川氏 災害時に限らず、ニセ情報を防いで安全なプラットフォームになることは、フェイスブックにとって極めて重要です。不適切情報防止の取り組みに注力しており、例えば不適切投稿を人工知能(AI)で瞬時に検知できる技術に加え、「人の目」によるチェックも今年中に2万人規模に拡充し、24時間・50か国語以上のコンテンツに対応する予定です。

もちろん今が完全ではありません。AIの機械学習や人の目の訓練を重ねるなど、取り組みの強化は今後も続けていきます。

   ――今年は自然災害が頻発しました。今後どのように被災地を支援していくのですか。

長谷川氏 西日本豪雨、大阪北部地震、台風21号と24号、そして北海道地震...。この夏は本当に多くの災害が国内で起きました。すべての発生時に「災害支援ハブ」が起動し、活用いただけました。災害支援ハブには募金キャンペーン機能が実装され、西日本豪雨では利用者から約800万円が集まりました。

西日本豪雨の被災地、岡山県真備町では豪雨から100日目に、今後の復興に向けて「キャンドルライト」のイベントを実施し、フェイスブックで動画を配信しました。こういう機会を通じて現地の様子を知ってもらうのと同時に、フェイスブックの機能の説明を多くの人に伝えるようにしていきたいです。

個人的には、ユーザーの皆さんの災害時における情報発信力が大きくなってきたと感じます。今日ではモバイルシフトが進み、場所を問わずネットにつながって情報の受発信ができる環境が整いました。現代では日常生活の中心にモバイルがあると言ってよいでしょう。ただ、災害対応がすべてモバイルでまかないきれているとは言い切れません。仕組みやプラットフォーム、個人の情報発信を含め、もっと良くなる余地はあると思います。そのためには、フェイスブックを使えば災害時に何ができるか理解を促進する活動が極めて重要です。

自然災害は残念ながら避けられません。ただ、その対応が進んでいくことは、世の中へのポジティブなインパクトになります。テクノロジーを通じて世界をよい方向に進める。そのため日本がお手本になるうえで、災害支援に大きなポテンシャルを感じています。
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