目的に合った薄毛対策が重要 スカルプケア選びのポイントは?
育毛剤、シャンプー、トリートメントの本来の目的は?
医療機関での薄毛の治療については今までみてきた通りなのだが、自宅でできるスカルプケアで髪の毛が生えることはあるのだろうか。病院で処方される薬にはそれぞれ明確な目的があったが、市販の育毛剤などは何の目的で用いるべきなのだろうか。
ヘアケアに関連した商品というと、育毛剤やシャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメントなど様々なカテゴリーの商品が思い浮かぶが、「育毛剤を使うとなぜ髪が生えるのか」、「シャンプーで髪が生えることがあるのか」、「リンスとトリートメントの違いは何なのか」など様々な疑問が沸き起こる。
そこで、スカルプケア商品の開発を手がけるメソケアプラス(東京都港区)の担当者にスカルプケア商品に関する様々な話を聞いた。
――まずは素朴な疑問なのですが、そもそもリンスやトリートメントなどは何のために必要なのでしょうか。
「リンスはもともと、石鹸(けん)で髪を洗っていた時代に、石鹸によってアルカリ性に寄ってしまった髪を中性に戻すために使うもの(酢酸やクエン酸など)でした。しかし、今では傷んだ髪の毛をしっとりと滑らかにさせることがその目的となっています。コンディショナーやトリートメントなどと同じような存在になってきていますね」
――男性もリンスやトリートメントを使うべきなのでしょうか。
「リンスやコンディショナーは傷んだ髪の毛をケアするためのものなので、髪を染めている人や髪の毛が長い人など、髪が傷む可能性が高いと思われる方は利用されたほうがいいかと思います。ただ、髪をとても短くされている人は、必要ないかもしれません。坊主頭にしている人などは必要ないですね」
――トリートメントを選ぶ場合、やはりノンシリコンのものを選ぶべきなのでしょうか
「今の世の中ではシリコンが悪者のように扱われることがありますが、傷んだ髪の毛をしっとりと滑らかにさせることが目的のトリートメントにとって、シリコンのような働きをする成分は必要なものです。ただ、シリコンは蓄積すると髪の毛がベタついてしまうという短所もありますので、シリコンを含んだトリートメントを使った後はよく洗い流すべきです。弊社でもトリートメント本来の目的を重視していますので、植物性シリコンのトリートメントを販売しています」
――シャンプーで髪の毛が生えることはあるのでしょうか。
「シャンプーの目的は髪の毛についた汚れや酸化した皮脂を落とすことですから、シャンプーで髪の毛が生えるということはありません。こうしたシャンプーを購入する際は、髪の毛が生えるというような誤解を与えるメッセージが書かれていない商品を選ぶと良いでしょう」
――シャンプーで髪の毛が生えることが無いとすると薄毛に悩んでいる男性はどのようなシャンプーを選ぶべきなのでしょうか。
「あまり洗浄力の強いシャンプーで頭皮を洗ってしまうと、頭皮の保湿のために本来必要な皮脂まで根こそぎ洗い落としてしまい、頭皮のトラブルの原因にもなりかねません。シャンプーは頭皮への刺激の少ないものを選ぶべきでしょう」
――それでは育毛剤で髪の毛が生えることはあるのでしょうか。
「認可上、育毛剤といわれるものや発毛剤といわれるものなど色々ありますが、多くの薄毛治療の専門病院では発毛を促す薬としてミノキシジルという成分の含んだ薬が処方されています。そして市販の一部のスカルプケア商品の中にはこのミノキシジルが含まれている発毛剤(OTC医薬品)がありますので、それらの商品には科学的に髪の毛を生やす効果があると言えますね。しかし、もちろん効果には個人差があるでしょう」
ミノキシジルを使った商品は、大正製薬ホールディングスの医薬品「リアップ」が知られる。だが既に特許が切れており、後発の医薬品メーカーが最近次々と市場に参入してきている。
――ミノキシジルを成分に含んだもののほかにスカルプケアに適した商品はないのでしょうか。
「最近、スカルプケアやスキンケアの分野では細胞の成長を促すたんぱく質の一種である成長因子に注目した商品が数多く登場しトレンドになっていますが、この成長因子は一部の薄毛治療の専門病院でも頭皮に直接注入するという形で治療に使われています。弊社では、成長因子の弱点である失活(活性が失われ効果が無くなってしまうこと)という課題を克服した疑似成長因子のヘアケア商品を販売しています」
こうして詳しく話を聞くと、専門病院での薄毛の治療において「この薬さえ飲めば誰もがたちまち薄毛が治る」といえる薬があるわけではなく、目的にあった薬を適切に組み合わせて症状を改善していくことが必要だったように、自宅でのヘアケアにおいても育毛剤やシャンプー、トリートメントなどそれぞれの本来の目的を理解したうえでスカルプケア商品を選ぶことが重要なようだ。