2019年、ビジネスパーソンの間ではどんな商品やサービスが「トレンド」となるのか。流通アナリストの渡辺広明さんが占う。キーワードは「ストレス臭」「コンシェルジュ」「ゆうちょPay」。それぞれを詳しく説明してもらった。ストレス臭は「オヤジを助ける」まずは「ストレス臭」について。面接や試験など心理的に心拍数が上がるような緊張・ストレス状態にあると、皮膚表面から硫黄化合物のような特有のニオイが発生する。2018年10月、資生堂がその正体を突き止めた。渡辺さんはストレス臭の解明が「オヤジを助ける」と喜んだ。「これまで電車内や職場内の嫌なニオイはいわれもなく、加齢臭とかオヤジ臭だとされていたんですよ。ストレス臭は女性からも出ることは実証されているので、これで僕たちオヤジのせいだと決め付けることはできなくなりますね(笑)」19年春には、資生堂からストレス臭を消臭する無香料の制汗剤が発売される予定だ。プレゼンテーション前で緊張する新社会人に重宝されるのではないかと予想する渡辺さん。また、「無香料」という点にも着目している。「無香料なのは、特に香水を使う人にとってうれしい特長でしょう。制汗剤と香水のニオイが混ざらないため、まず制汗剤でニオイを消し、そのうえから自分の好きな香水をつけることができるからです」メーカー・ブランドを超えて商品を紹介渡辺さんが次に説明したのは、「コンシェルジュ」だ。18年10月、百貨店の「三越日本橋本店」(東京都中央区)がリニューアルにともない、コンシェルジュサービスを強化した。利用客が来たら、まず本館1階レセプションカウンターの総合ガイドが要望を聞いて、それぞれの専門のコンシェルジュにつなげる。たとえば「親戚の結婚式に行く服装を一式揃えたい」との相談を受けた総合ガイドは、財布やスーツ、靴などそれぞれに精通したコンシェルジュにつないで、客が求めている品探しを助けてくれるのだ。こうしたコンシェルジュサービス、トータルコーディネートの提案は、昨年10月にオープンした家電量販店のノジマの新業態店「ノジマプライムセレクションエビス」(東京都目黒区)も力を入れている。両社に共通する消費者視点でのメリットは「ショップを探し回る手間が省ける」「メーカーやブランドを超えて紹介・説明してもらえる」点だと渡辺さんは指摘した。ゆうちょ銀行が電子マネーに参入最後は「ゆうちょPay」。2020年の東京五輪に向けて、日本国内でも電子決済化が進む中で、19年2月にゆうちょ銀行がスマートフォンとQRコードを活用した新しい決済サービス「ゆうちょPay」をスタートする予定だ。全国で口座開設数が多い同行の参入は、電子決済化の促進に大きな影響を与えると渡辺さん予想する。「ゆうちょ銀行など大手銀行が参入して、さらに電子決済でポイントが貯まるサービスなどを導入すれば、ますます利用者は増えるのではないでしょうか」また、渡辺さんは電子決済化が進むと、「"ついで買い"がなくなる」のではないかと考える。スマートフォンなどで購入履歴をすぐに見られるので、「何にいくら使ったか」を自覚することで消費にメリハリができ、余計なものを買わなくなるという。「本当にいい商品だけが勝ち残る」。渡辺さんはコンシェルジュサービスや電子マネーの普及によって、メーカーの競争はますます激しくなるとみている。
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