2021年 4月 19日 (月)

複雑怪奇な「フォッサマグナ」という怪物の謎を解く

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自然の偉大さと科学書籍の重要性

   読了して、ある種の感慨を覚える。フォッサマグナの成因を通じて、我々が暮らすこの島々そのものが、より立体的に理解されるからである。

   恐竜時代に大陸で生じたプレートが横ずれを起こす。地球の奥底の膨大なエネルギーが地殻を切り裂く。島しょを次々と衝突させてくるプレートもある。この過程では、人類が知らない巨大地震や噴火も多々あったことだろう。

   たかだか150年の明治維新以来の近代日本というものが、いかにちっぽけな存在かということも、思い知らされる。そして四季美しいこの国土の成立ちを奇跡のようにさえ感じつつ、数百万年後の列島の姿と、そこに暮らす未来の生命に思いを馳せるのである。

   ともあれ、久々に手に取ったが、ブルーバックスはやはり素晴らしい。

   ブルーバックス「発刊のことば」は、1963年、講談社の野間省一社長名である。「科学をあなたのポケットに」との題を添えた短い文章を読んでみる。

   「産業人も、セールスマンも、ジャーナリストも、家庭の主婦も、みんなが科学を知らなければ、時代の流れに逆らうことになるでしょう。」 この節は、科学万能主義の時代を感じさせる。

   だが現代は、似非科学とフェイクニュースが大手を振る。野間の警鐘と裏腹に、非科学的な時代の流れにどう逆らうかを考えるべき世相が、一部であれ現出してしまったことは、嘆くべきだろう。

   その世相を思うにつけ、科学的思考の重要性を改めて自覚する。分かりやすく研究成果を伝授して下さる多くの著者の方々と、ブルーバックスという自然科学の啓蒙書を連綿と発刊し続けてくれている講談社に、深い敬意と感謝の念を抱く次第である。

酔漢(経済官庁・Ⅰ種)

【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で「本や資料をどう読むか」「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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