2019年 10月 14日 (月)

超大国アメリカの今をメディアからアプローチ

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■『現代アメリカ政治とメディア』(著、編集・前嶋和弘、山脇岳志、津山恵子 著・奥山俊宏、金成隆一、宮地ゆう、五十嵐大介 東洋経済新報社)

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   オバマ・前米大統領は、2016年1月12日に行った任期最後の一般教書演説で、「世界の警察官になることなしに、いかに米国を安全にし、世界をリードするか」が、次期大統領が回答を迫られる課題だと述べた。そして、2016年11月のアメリカ大統領選挙で、トランプ氏がまさにその次期大統領に当選したことで、世界に大きな衝撃を与え続けている。

報道も保守とリベラルの情報を提供する応援団のよう

   編著者の1人である山脇岳志・朝日新聞編集委員(2013 年から2017 年まで朝日新聞アメリカ総局長)は、本書の「はじめに」で、アメリカの有力シンクタンク、外交評議会会長のリチャード・ハース氏が、2018年春に「自由な世界秩序よ、安らかに眠り給え」というタイトルの論考を公表したことをとらえて、アメリカ総局長時代のインタビューで、ハース氏がトランプ氏の孤立主義的な色彩に懸念を抱いていたことを生き生きと回想する。

   本書は、「テレビ番組の人気ホストとして知名度を上げ、メディアが創りだしたともいわれるトランプ大統領は、メディアを敵視する発言を繰り返している。トランプvs.伝統メディアの構図は、アメリカの政治・世論の深刻な分裂ももたらしている。アメリカ政治とメディアの歴史も踏まえつつ、分極化の過去・現在・未来を展望する『アメリカ政治とメディア』の決定本」と銘打って出版された。

   編著者である、現代アメリカ政治外交を専門とする前嶋和弘・上智大学教授は、「第1章 危機に瀕するアメリカのメディア―歴史的にみる『メディアの分極化』の前と後」で、アメリカでは、「メディアを中心に動く政治」ということが、国のあり方に組み込まれていることを、アメリカ憲法制定過程で大きな影響力を持った「ザ・フェデラリスト」という一連の論考が新聞で連載されたことなどを例に巧みに説き起こす。

   この本を通じてのキーワードは、まさに「メディアの分極化(media polarization)」だ。報道も、まるで保守とリベラルの情報を提供する応援団となっているという。

   また、共同通信社ニューヨーク特派員などを経て2007 年に独立して、ニューヨークに在住して活躍しているジャーナリスト・津山恵子氏は、新興メディアの状況などについての最先端の米国の現状をレポートし、分析・提示する。

   山脇氏も、アメリカの放送法の規範であった「フェアネス・ドクトリン」などの変貌や、トランプの気質を精神医学的に報道することについての是非を、我々に問いかける。

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