2019年 9月 18日 (水)

ブロックチェーンの強みは仮想通貨だけじゃない

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■『仮想通貨とブロックチェーン』(木ノ内敏久著、日経文庫)

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   ブロックチェーン技術は、人と人、モノとモノが、中央の管理者を介在せずに取引するP2P技術である。IoT(モノのインターネット)の時代に欠かせない技術として、その社会的影響はインターネット技術以上とも言われる。日本では、フィンテック、仮想通貨に関心が集まりすぎている。本書は、ビットコインおよびイーサリアムの二つの仮想通貨を中心に記述されているが、仮想通貨以外の分野にどのような将来性があるかにも触れており、そうした内容をご紹介したい。

仮想通貨の性格とその将来

   筆者は、貨幣の本質は「譲渡可能な債務」だという。中央銀行の信用がある限り、通貨がもともと誰の債務かを考えることなく、決済や貯蓄に用いることができる。これに対して、ブロックチェーン技術では、発行主体がいない仮想通貨が流通する。政府は、仮想通貨には強制通用力が法律で担保されておらず、通貨には該当しないと国会答弁したが、その後、資金決済法において5つの要件を満たすものを仮想通貨と定義した。そして国際的な組織(FATF)の勧告を受けて仮想通貨の取次ぎ、交換をする業者を登録制にし、利用者の資産保全とマネーロンダリング対策を実施している。発行主体のない仮想通貨の将来は、各国の法制度が調和し、それぞれの仮想通貨が、その価値が安定するアルゴリズムを形成できるかにかかっている。

健康・医療データや土地台帳の記録に活用する国

   ダボス会議(世界経済フォーラム)は、政府や組織の役割の見直しが迫られる6つのメガトレンドの中に、クラウドサービスやIoTとならび、ブロックチェーン技術をあげている。仮想通貨以外にも関心を持たなければならない。

   バルト三国のひとつエストニアは、全国民130万人の健康・医療データを生涯にわたり、ブロックチェーンの台帳に記録するという。中米のホンジュラスでは、徴税の基礎となる土地台帳をブロックチェーン技術で整備する計画がある。日本においても、耕作放棄地や相続を放棄された土地の管理を一元的に行うために、不動産登記簿、固定資産課税台帳、農地台帳などをブロックチェーン技術で一元管理するという構想がある。

   人の署名・捺印手続きなしに契約ができる、いわゆるスマート・コントラクトもブロックチェーン技術の恩恵である。現在は、イーサリアムというトークンと組み合わせる事例が多いが、複数のプラットフォームの切磋琢磨により多様なサービスが広がるだろう。契約金額がわずかな金額だったり、自動販売機のように一方当事者が機械、あるいはIoT技術を利用した機械どうしのデータ売買などの場合、ブロックチェーンの強みは大きい。

個人データが資産となる

   グーグルやフェイスブックが、そのプラットフォームに集まるデータをビッグデータとして利用し、財産的価値を生んでいることは良く知られているが、データの本来の作成者に対価が支払われていない。スマート・コントラクトを利用すれば送金手数料なしに、個人データの利用を小額で行うシステムが構築可能となる。本人が同意する範囲で事業者に有料でデータ使用を認めるのである。データ・ポータビリティ、情報銀行と呼ばれる。健康・医療データ以外にも、その人の仕事の力量を示す学歴・職歴・資格データ、スマートフォンにあるアプリケーション使用実績を含めた生活情報、金融資産情報などが考えられる。

   シェア・エコノミーにもブロックチェーン技術が追い風となる。書き換えのできないP2Pデータが取引の信頼を支えるからである。銀行を介さないで資金を集めるクラウド・ファンディングは、人々の連帯感や共感が動機となっているが、取引記録が一元的に管理できれば、誠実な起業家なら資金を繰り返し調達しやすくなる。

   中古品の個人間売買や、一時的に仕事の依頼などにも、ブロックチェーン台帳の記録があれば、ネットオークション企業や人材派遣会社のような管理主体の必要性が低下する。配車サービスの「ウーバー」や、宿泊サービスの「エアビーアンドビー」は半無人のサービスであるが、これらに代わる管理主体のない無人サービスが誕生する可能性がある。

経済官庁 ドラえもんの妻

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