2021年 5月 16日 (日)

西日本豪雨から1年後の真備町を歩く 平静な街と生活再建に必死な被災者

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行政支援の申請、すべて自力でこなすには負担大

   豪雨の爪あとは残っているが、一方で商業施設は通常営業、クルマは多く行き交い、水田ではイネが育って緑がまぶしい時期を迎えていた。たとえば極端に空き地が増えたような、街自体が大きく様相を変えたとは思えなかった。

「変わっていないように見えるのが、住民の皆さんにとってはしんどいかもしれません」

   J-CASTトレンドの取材にこう話したのは、岡山NPOセンター・地域連携センターの主任アドバイザー、詩叶純子さん。豪雨被害発生当初から現在も、真備町で支援活動を続けている。

   水害は大地震や津波と違い、水が引いた街は「見た目」では以前とあまり変わらないかもしれない。だが水に浸かった住宅は、カビが広がってニオイがひどくなり、傷みも進んで住み続けられる環境ではなくなるケースが少なくないのだ。

   西日本豪雨から1年が過ぎた現在は、被災者の生活再建に力を入れている詩叶さん。災害によるさまざまな喪失感やトラウマは、暮らしが経済的に苦しいままだと乗り越えるのが難しい。一方で、行政の支援制度の利用には、被災者が自ら動いて申請する必要がある。

   り災証明書の取得から始まり、基礎支援金、加算支援金、住宅の公費解体と、制度の種類が多く、自ら書類を用意して申請しなければならない。民間の火災保険や生命保険に加入していれば、その手続きもある。被災で精神的なダメージが大きい人たちが、自力ですべてをこなすのは負担が大きい。

   住まいの選択も迫られる。まず真備に住み続けるかどうか。そのうえで、元の場所で壊れた家を修繕するか新築するか、場所を移るなら家を購入するか賃貸か。いずれにしろ、家族で重大な決断が迫られる。それぞれのケースで、家計も考えなければならない。

   詩叶さんらは現在、被災者が生活再建のために確認すべき内容を分かりやすくまとめた「チェックシート」を試作している。弁護士や司法書士、ファイナンシャルプランナーといった専門家の力を借りて、個々の被災者に現状を把握してもらったうえで、新たな生活へ踏み出せるように促す取り組みだ。仮に未申請だった各種支援金が受給されれば、被災者にとっては生活上の大きな助けとなる。将来に向けての一歩が踏み出せるだろう。

   災害からの復旧が一段落すると、被災者への注目は減る。だが生活は厳しいままだ。今後の中長期的な支援としては、さまざまなニーズに柔軟に対応できる金銭的な寄付が最も有効になるだろう。一方で詩叶さんは「忘れないでいてもらうことが、被災した皆さんにとっては大きいと思います」。自分たちが取り残されているのではないかという不安が、何よりもつらいのだ。

(J-CASTトレンド編集部 荻 仁)




2019年8月16日追記:西日本豪雨の災害支援を行なう組織のネットワーク「災害支援ネットワークおかやま」は、寄付を受け付けている。また被災者の生活再建をサポートする「住まいと暮らしのリカバリーCafe」は、岡山県青年司法書士協議会が支援金を充てて運営している(それぞれ団体名をクリックすると、リンク先に飛びます)。

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