スマホをかざせば近くの不動産情報を表示
2020年には東京五輪を控え、いわゆる「インバウンド需要」は伸びると何さんは予測する。その先に2025年の大阪万博、さらにIR(統合型リゾート)が日本国内に広がれば、「マカオを知っている中国人」だけに、リゾート一帯の不動産に着目する人は少なくないとみる。
さらなる投資に結び付けるツールとなりそうなのが、NeoX社のプラットフォームと同じ「神居秒算」の名のスマートフォン無料アプリだ。AR(拡張現実)技術を使っているのが特徴で、街中を歩いている際に起動すると周辺の形式が画面上に映し出され、その上に近辺にある登録された不動産情報が現れる。ビルの名称、住所から面積、利回りまで、路上にいながら分かる仕組みだ。
「気になる物件を見つけたら、このアプリですぐ詳細が分かる。そんな特徴を入れたかったのです」
京都大学大学院で情報学の博士号を取得した何さんは、有意義な情報は、その人が興味を持った「対象物」に潜んでいると考える。だが不動産の場合、たまたま街で見つけて「欲しいな」と思っても、価格や間取りが建物に書いてあるわけではない。そこで、スマホをかざせばすぐ「潜んでいる知りたい情報」が見られるように工夫したのだ。
こうしたハイテクを扱う何さんにとって、1997年に留学で来日した当時と今では「隔世の感」があるそうだ。近年、日本人は中国企業、またAI(人工知能)やモバイル決済をはじめとする先進技術に対する印象が変わってきていると感じる。
一方で中国人、特に知識層は日本が先進国であり、平和な国であると理解しており、だからこそ多くの観光客が来日している。日中双方の相互理解がさらに進み、ネガティブな面を誇張するような報道が抑制され、「お互いのいい面を、母国の人に伝える」ことがさらに進行すれば、ビジネス面でもさらなる好影響につながると期待している。
(J-CASTトレンド編集部 荻 仁)
日本に住む中国出身者の数は、2018年末時点で76万4720人。台湾出身者を合わせると83万人に迫る(法務省調べ)。日本社会に根付き、活躍する中国人は少なくない。J-CASTトレンドでは今後こうした人の取材を軸に、「私たちのすぐ近くの中国」を見ていく。