2020年 11月 24日 (火)

「東京五輪」マスコミのお祭り騒ぎは変わらない【2020年大予想(1)】

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「スポーツの魅力をきちんと伝える」ことこそが役割

――次に「若者とメディア」についてお聞きします。普段、学生と接するなかで「ニュースの見方」にどのような変化を感じますか。

碓井 「紙の新聞」を読まない。テレビのニュース番組さえ見ない。これがいまや当たり前になりました。基本はスマートフォン(スマホ)です。朝起きてから、スマホでインターネットのニュースサイトにアクセスしたり、好みのニュースサービスのアプリで記事を読んだりする。さらにツイッターで気になる話題のハッシュタグを拾っていく。5分程度で最新の情報を収集します。学生にとってはスピードが重要。「昨日の話が書かれている紙の新聞を読んでどうするんですか」というわけです。

――紙の時代とネットの時代を比べて、ニュースとの対し方にどのような違いが出ているのでしょうか。

碓井 今日の学生は、自分が欲しい情報のみを取りに行く傾向があります。結果、特定分野には詳しいが、興味がない話題には関心を示さず情報量も乏しい。ところが、たとえ政治や経済の出来事を知らなくても、恥ずかしいとは思っていません。知りたいことを知っていればよいというスタンスです。

――もっと広く世の中のことを知っていた方がよいと思いませんか。

碓井 うーん、今は一概にそうとも言えない気がします。特定の分野については大人が知らないことでも非常に詳しい。広く浅い教養が本当に大切なのか......。それにスマホでネットにつながっている今日の学生は誰しも、程度の差こそあれ少しはニュースに接しているのも事実です。全く知らないわけではない。
   もうひとつ、ネットにあふれる情報から価値あるものを抜き出せるか、フェイクを見分けられるかといったリテラシーを高める教育が、若い世代に対しては重要になるでしょう。

――若者のメディアに対するスタンスが変わる中、2020年は旧来の大手マスコミが変わる気配はあるでしょうか。

碓井 テレビは若い視聴者を取り込もうと、例えばスポーツ中継で「応援団」「特別キャスター」と称してタレントを使う。これは先に説明したとおり、視聴者が欲しているわけではありません。でもそれをやめるとも思えず、ますます「テレビって、どうなの」と言われてしまいそうな気がします。
   東京五輪で言えば、マスコミが果たすべき役割は「スポーツの魅力をきちんと伝える」です。私たちは一流アスリートによる競技が生み出す「感動の瞬間」に立ち会いたいのであり、バラエティー色が欲しいわけでも、選手を面白おかしくキャラ化してほしいとも期待していません。
   社会全体でみれば、テレビの力はまだまだ大きい。だから「伝えないこと」による悪影響も考えてほしい。例えば、首相主催の「桜を見る会」を巡る一連の問題への追及が続いていた時期に、「沢尻エリカ逮捕」が報じられるとマスコミは一斉にそちらへ向いてしまった。「これは政府による陰謀だ」という説はさすがに笑い話ですが、テレビジャーナリズムはどこへ行ってしまったのかと呆れます。2020年、大手マスコミは今一度襟を正して報道に向き合ってほしいと願っています。

碓井広義(うすい・ひろよし)
上智大学新聞学科教授。博士(政策研究)。専門はメディア文化論。番組制作会社「テレビマンユニオン」プロデューサー、慶応大助教授、東京工科大教授などを経て、2010年より現職。毎日新聞や北海道新聞、日経MJなどに放送時評やコラムを連載中。著書に「ドラマへの遺言」(倉本聰氏と共著、新潮新書)ほか。

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