2020年 10月 1日 (木)

「ナウシカ」知識人たちはこう評価した

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ナウシカの行動に納得しなかった野口悠紀雄

   経済学者の野口悠紀雄氏の「『超』整理日誌」(ダイヤモンド社 1996年、新潮文庫 1999年 いずれも版元品切)に収録された「『風の谷のナウシカ』に関する主観的一考察」は、スーザン教授の本にも、赤坂氏の本にも、参考文献としても出てこないが、とても秀逸だと思う。もとは、週刊エコノミスト誌(毎日新聞社)1995年5月9日号~23日号に掲載されたものだ。野口氏は、漫画版「ナウシカ」が、ワーグナーの楽劇「ニーベルンゲンの指環」、J・R・R・トールキンの「指環物語」に続く「第三の指輪物語」であるとの仮説をたてて見事な考察を行う。そして、漫画版「ナウシカ」は、「言語イデオロギー過剰」ではあるが、ファンタジーとしての条件を備えた名作だという。ただし、ナウシカがとった行動(人類の救済計画を拒否したこと)について、野口氏は納得していない。ナウシカに匹敵する登場人物であるクシャナを高く評価し、物語の途中で、世界再建の指導者という人類的使命に目覚めて、実務家として立ち現れたことが、漫画版「ナウシカ」を大人の鑑賞に堪えるものにしたとする。

   野口氏は、当時の文庫版あとがきで、この本で「終末は到来しないこと、多くの人々にとっての日常は退屈な日々の連続であること、そして人類はそうしたなかで21世紀を迎えるであろうことを強調した」という。3.11を経験した我々は、この見解を無条件に受け入れることは難しいが、野口氏がこのエッセイの最後で指摘する「必要なのは、終末が訪れぬ世界、いつになっても終わらぬ世界において、人々を壮大なイメージで奮い立たせるのでなく、実務のレベルで地道に問題を処理することだ」との言葉は、いまの時代にあっても実務家として改めてかみしめるべきものだと思う。

経済官庁 AK

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