2024年 4月 16日 (火)

天然痘から奇跡的に回復した青年モーツァルト 活気ある「交響曲 第7番」

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   新型コロナウィルスによる感染症の爆発的な拡大で、全世界の約半分の人が外出制限を受けているという、信じられない事態が起こっています。特にクラシック音楽発祥の地である欧州の状況がひどく、「音楽の母国」であるイタリアの状況は、少しずつ改善の兆しが見えてきたものの、まだまだ危機的な状態で、予断を許しません。

   クラシック音楽の長い歴史の中では、病に悩まされた作曲家が大勢います。医学が未発達な時代、劣悪な衛生環境の中で移動が多い商売ですから、当然かもしれません。今日はその中でも、代表的なモーツァルトのエピソードを取り上げましょう。

  • モラヴィアへの避難旅行をした、モーツァルト家の3人。父レオポルド、姉ナンネル、そしてヴォルフガングの肖像。この絵は、モーツァルトが22歳の時に母マリア・アンナがパリで死去した以降に書かれているので、母は絵の中に書かれている
    モラヴィアへの避難旅行をした、モーツァルト家の3人。父レオポルド、姉ナンネル、そしてヴォルフガングの肖像。この絵は、モーツァルトが22歳の時に母マリア・アンナがパリで死去した以降に書かれているので、母は絵の中に書かれている
  • モラヴィアへの避難旅行をした、モーツァルト家の3人。父レオポルド、姉ナンネル、そしてヴォルフガングの肖像。この絵は、モーツァルトが22歳の時に母マリア・アンナがパリで死去した以降に書かれているので、母は絵の中に書かれている

200キロほどの避難旅行

   モーツァルトは「神童」として、幼いときから父親に連れられ、馬車と船しかない時代、欧州を股にかけて、現代でも大変な旅程をこなして各地を移動していたわけですから、さまざまな病気にかかりました。彼の早逝は、成長期にかかった病気が一つの遠因だったかもしれません。

   1767年、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは、11歳になったばかりの少年でした。現代の日本で言えばまだ小学校5年生・・なわけですが、6歳にしてすでにウィーンの宮廷でマリア・テレジア女帝の御前で演奏を披露して絶賛されたキャリアを持ち、一人前の音楽家として少しでもよい仕事を得ようと、父親と「売り込み中」でした。

   もちろん、まだ先人たちから学ぶことは多く、直接先輩音楽家に師事をしたり、その人達の作品を編曲したりして勉強も怠っていなかったのですが、一方では作曲の注文をこなしていく「プロの音楽家」でもあったのです。周囲はこんな子どもが本当にまともな作曲ができるのかといぶかしみ、一つの部屋に閉じ込めて作曲させた・・というようなエピソードも伝わっています。

   この年、マリア・テレジアの12番目の子、皇女としては9番目のマリア・ヨゼファ・フォン・エスターライヒが、ナポリ・シチリア王フェルディナンドと結婚する予定と発表されました。婚姻政策で力を増していったハプスブルク家にとって婚礼の儀式は重要で、そこには音楽もたくさん必要とされます。作曲の受注ができないかと、父親レオポルドにつれられて、姉ナンネルと、少年モーツァルトは故郷のザルツブルクから帝都ウィーンに旅立ちます。9月のことでした。

   ところが、「人が集まると流行が拡大する」・・というのは、まさに現在新型コロナウィルス感染症で我々が経験していることですが、諸外国からもたくさんの人の往来があった帝都ウィーンでは、天然痘が大流行するのです。今回の新型コロナウィルスも身分の別け隔てなく感染するといわれていますが、この時、あろうことか「新婦」のマリア・ヨゼファが天然痘の犠牲となり10月15日に急逝します。フェルディナンドは結局その妹のマリア・カロリーナと結婚することになります。しかし、それは後の話で、現地ウィーンで皇女マリア・ヨゼファのために歌曲などを作曲していたモーツァルト一家は、結婚の式典はとりあえず中止になるし、天然痘はさらに勢いを増すし・・ということで、一時退避を決めます。行き先は、当時は帝国領内でしたが、現在ではチェコ・モラヴィア地方のブルーノを経由してオロモウツ(ドイツ語ではオルミュッツ)でした。200キロほどの避難旅行です。

本田聖嗣プロフィール
私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でプルミエ・プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目のCDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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