2020年 10月 26日 (月)

大滝詠一「Happy Ending」
音楽は生き続ける

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   タケ×モリの「誰も知らないJ-POP」

   2020年3月21日、大瀧詠一のデビュー50周年記念アルバム「Happy Ending」が発売になった。と書くと、彼はまだ元気だったんだろうか、と思われる方もいらっしゃるかもしれない。確かに彼は7年前に惜しくも65才で生涯を終えた。でも、毎年、「A LONG VACATION」の発売日で、ゆかりの日となっている3月21日には様々な形でアルバムが発売されている。

   なぜ、そんなに毎年発売出来るのか。答えは簡単だ。これまでに世の中に出ていなかった音源がそれだけあるからということに尽きる。

   大瀧詠一が、なぜ、誰もが一目も二目も置く巨人になったのか。ここまで傑出した存在になったのか、それは、彼の活動の特異さが全てを物語っている。

  • 「Happy Ending」(SMR、アマゾンサイトより)
    「Happy Ending」(SMR、アマゾンサイトより)
  • 「Happy Ending」(SMR、アマゾンサイトより)

無尽蔵の未発表音源

   50周年記念盤「Happy Ending」は、彼が1990年代以降にレコーディングされた音源が収められている。レコーディング中になくなってしまったために歌詞が出来てない新曲や完成した未発表の新曲も2曲ある。でも、多くは「バージョン違い」と呼ばれる曲たちだ。例えば97年の大ヒットシングル「幸せな結末」や03年の「恋するふたり」のアルバムバージョンやテレビやCMで使われたバージョン、更に劇中で使われた歌詞の違うもの、80年代に松田聖子に提供した曲のストリングスバージョン、81年のアルバム「A LONG  VACATION」以来活動を共にする編曲家、井上鑑に提供した曲の彼自身の歌入りのもの。どれも初披露のお宝音源ばかりというアルバムとなっている。

   つまり、それだけ発表されない音源が残されているということが驚くべきことだろう。

   去年は、ライブ嫌いで知られていた彼が唯一、83年に西武球場で行われた唯一のスタジアムライブを収めたライブアルバム「NAIAGARA CONCERT'83」も出た。72年にソロアーティストとして活動を始めてから初めてのライブアルバムだった。それも、レコーディングはされたものの発売されないままになっていたものだ。発売するためにレコーディングするのではない。自分のこだわりをとことん追求するためにレコーディングする。

   50周年記念アルバム「Happy Ending」もそんな彼の活動あってこそだ。

   大瀧詠一の名前が音楽ファンの間で知られるのは、1970年、ロックバンド、はっぴいえんどのヴォーカル・ギター担当としてデビューしてからだ。細野晴臣(B・V)、鈴木茂(G・V)、松本隆(D)の4人組。大瀧詠一を誘ったのは細野晴臣だった。それまでのグループサウンドのバンドとは全く違う、それぞれの楽器の音を重視した洋楽のような音作りと日本の生活や風景を織り込んだ時に文学的な歌詞は、"元祖・日本語のロック"として新しい時代の扉を開けた。活動期間は、わずかに二年半。オリジナルアルバム3枚を残して解散してしまった。

   先駆者は必ずしも同時代的な評価を受けるとは限らない。73年のはっぴいえんどの解散コンサートは文京公会堂という小規模な会場だった。バンド消滅後にこれだけ研究対象になっているバンドは彼らくらいだろう。

   まさに「伝説」だった。

   大瀧詠一のソロ活動はバンド時代の72年から始まっている。一枚目のアルバム「大瀧詠一」にははっぴいえんどのメンバーも加わっている。それは、一時、まことしやかに語られたことのある彼のソロ活動がバンド解散につながった、という説が的外れという証明と言っていい。

   大瀧詠一の名前をいつ知ったのか、というのは世代にもよるだろうし、音楽の聴き方によっても相当に違うはずだ。

   バンド解散後に彼が始めたのが「ナイアガラ」という個人レーベルだった。自宅にスタジオを作り、曲作り、編曲、プロデュース、エンジニア、原盤制作という音源づくりやその管理まで、自分の音楽に関わることを全て手掛けるという画期的なシステム。一人のミュージシャンがそこまでやった例は他にない。

   それぞれに大瀧詠一という名前ではない多羅尾伴内、笛吹童次などの変名を使うという遊び心にも満ちている。アメリカンポップスだけではなく、クレージーキャッツやCMソングの巨人、三木鶏郎の研究家でもあった。

   こうして無尽蔵のように発売される未発表音源もそうした環境があってこそだ。

タケ×モリ プロフィール

タケは田家秀樹(たけ・ひでき)。音楽評論家、ノンフィクション作家。「ステージを観てないアーティストの評論はしない」を原則とし、40年以上、J-POPシーンを取材し続けている。69年、タウン誌のはしり「新宿プレイマップ」(新都心新宿PR委員会)創刊に参画。「セイ!ヤング」(文化放送)などの音楽番組、若者番組の放送作家、若者雑誌編集長を経て現職。著書に「読むJ-POP・1945~2004」(朝日文庫)などアーティスト関連、音楽史など多数。「FM NACK5」「FM COCOLO」「TOKYO FM」などで音楽番組パーソナリテイ。放送作家としては「イムジン河2001」(NACK5)で民間放送連盟賞最優秀賞受賞、受賞作多数。ホームページは、http://takehideki.jimdo.com
モリは友人で同じくJ-POPに詳しい。

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