2024年 4月 25日 (木)

人口減少に少子高齢化、そして新型コロナ 「歴史的な大転換点」のいま

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「財政再建は前提だが...」

   本書の帯には、「人口減少、低成長、そして貧困化・・・ この国のシステムが"静かな有事"を進行させる。我々の未来に不安をもたらす様々な問題が、なぜ解決できないのか。その真因を明示し、包括的な改革プラン、成長戦略を具体的に説く」とある。本書の「はじめに」で、著者は、「財政再建は前提だが、それが実現できても、2050年に向けて我々が直面する課題を解決できるとは限らない。」という。

   第1章から、「人口減少、低成長、そして貧困化」、「財政」、「日本銀行と政府の関係」、「年金」、「医療」、「国と地方の関係」、「成長戦略と格差是正」、「社会保障の新しい哲学」、「残された課題―財政再建と選挙制度改革」と9つの章に分けて各論が展開される。

   小黒氏は、「現在の日本の経済システムは、個人を保護することも十分にできず、創造性を伸ばす多くの機会を奪っている」という。今回の新型コロナウイルスの感染拡大で、第7章で指摘されている、「データ金融革命こそが成長の起爆剤」や「最新テクノロジーの徹底活用で教育の再構築を」といった小黒氏の提言の有効性がさらに明らかになった。第8章では、改革の哲学の必要性を説き、その一つとして「確実な給付と公平な負担」を取り上げ、その実現のために「デジタル政府」や「プッシュ型行政」を提案している。今回の緊急経済対策の「現金給付」は、マイナンバーやマイナポータル等で、タイムリーな所得情報を把握できる仕組みが存在すれば、速やかに実行可能であったろう。諸事情はあるが、平時のうちに備えができなかったことが悔やまれる。日本は、このような行政のインプリメンテーション(執行)への手当てがきわめて脆弱な国なのだ。

   我々は、人口減少・少子高齢化が本格化する中で、小黒氏が指摘するように「歴史的な大きな転換点にいる」のだ。この危機で、それをあらためて噛みしめることになった。

経済官庁 AK

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