2021年 9月 26日 (日)

混沌こそ台湾の味 東山彰良さんが語る故郷の「ぶっかけ飯」その他

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

行間から喧噪や匂いが

   このエッセイが巧みなのは、故郷の思い出を記しながら、いまの台湾の「食」ガイドにもなっている点だ。文中にはたくさんの料理や食材がルビ付きで登場し、まるで夜市の屋台をのぞきながら歩くよう。行間からは、喧噪や香辛料の匂いまでが立ち上ってくる。そして贅沢なことに、最後は手づくりデザートでシメるという構成である。

   台湾は人気の旅行先である。近くてコスパがよく、食もハズレが少ないことから、CREAの主要読者層である30代女性の関心は高そうだ。グルメ情報満載の特集はまさにど真ん中のストライク、だから80ページを割く力の入れようである。

   東山さんの役割は「台湾の食」を総括し、魅力的に紹介することだろう。

   「食器なんかろくすっぽ洗ってもいないような屋台」「汗だくになって食う」...鍋から上がる火柱を見て「ああ、いま火事になったらみんな焼け死ぬな」と...作家はワイルドな筆致で読者をグイグイと引っ張っていく。昔話なのに生々しい。

   危ないまでの「混沌」を己の五感で確かめたくなる文章...プロの技だと思った。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

今すぐ無料会員に登録して、コメントを書き込もう!
姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中
カス丸

ジェイキャストのマスコットキャラクター

情報を活かす・問題を解き明かす・読者を動かすの3つの「かす」が由来。企業のPRやニュースの取材・編集を行っている。出張取材依頼、大歓迎!