東京都の小池百合子知事は2020年4月23日、買い物を「3日に1回程度」に控え、買いだめしないよう呼び掛けた。新型コロナウイルスの感染リスクの高まりが懸念されるスーパーの混雑緩和が目的だ。この要請前、小池知事は、人との接触を8割減らすため「会社名のイニシャル」で出勤時間帯を分けることなどを提案。すると4月23日放送の複数の情報番組が、「イニシャルでスーパーの入場制限」の可能性を伝え、「イニシャル」がツイッターのトレンドワード入りした。「今後さらに数字が悪化することがあれば...」もしも、名前のイニシャルで入店制限されたら――。複数のツイッターユーザーは、こう考えたようだ。そのうえで、「サ行の人が買い物に行く時間帯は行列が大変なことになるのでは」と指摘する事態となった。確かに「サ行」の人が一斉に買い物に出かけた場合、スーパーが「3密」を避けられないほど混雑する事態も想定される。明治安田生命保険(東京都千代田区)が2018年に、同社の生命保険・個人年金保険の契約者約655万人を対象に行った「姓(苗字・名字・氏)」に関する調査結果によると全国に多い苗字の1、2位を「佐藤」「鈴木」のサ行が占めており、アルファベット別でも「S」で結果は同じだ。トップ10は以下の通りで、カッコ内は同社が割り出した推定人口。サ行・「S」は、合計約376万人となる計算だ。第1位「佐藤」10万588人(約194万人)第2位「鈴木」9万4706人(約182万人)第3位「高橋」7万4442人(約143万人)第4位「田中」6万9195人(約133万人)第5位「渡辺」6万1794人(約119万人)第6位「伊藤」5万8889人(約113万人)第7位「中村」5万5912人(約107万人)第8位「小林」5万4350人(約104万人)第9位「山本」5万3604人(約103万人)第10位「加藤」4万6464人(約89万人)3、4位の「高橋」「田中」が含まれるタ行または「T」も、上記の推定人口を合わせると276万人になる。8位と10位「小林」と「加藤」のカ行・「K」が、これに次ぐ計193万人。「イニシャル」で入場制限すると、偏りが出る恐れがありそうだ。現段階で小池知事の要請は、「3日に1回程度」の買い物。「イニシャル」説は消滅した。ただ、記者会見では「今後さらに数字が悪化することがあれば、スーパーなどに限らず色々な意味で外出自粛に関して『実効性がある手法』を検討していく」と説明があった。実現可能性はゼロではないかもしれない。
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