2024年 4月 20日 (土)

園芸療法 岩崎寛さんは植物の力を信じ、同好の士に流布を求める

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

「潤い」の源とは

   雑誌のプロフィールによれば、岩崎さんは医学、薬学、看護学などの視点から「人と植物のよりよい関係」を探求中。病院緑化を含む園芸療法のほか、アロマセラピーや森林療法についても科学的にアプローチしている。

   その道の専門家に教えられずとも、植物が心の健康にいいのは何となく分かる。その姿に癒され、香りに安らぎ、日々の変化にもろもろの移ろいを気づかされる。

   わが家のリビングにも観葉植物がある。それも長いこと。

   東南アジア原産のアロカシア・アマゾニカというサトイモ科の鉢植えで、これが丈夫というか健気というか、大した世話もしていないのに15年近く生きている。最初は上記のような効用を期待し、おつりが出るほど応えてくれたのだが、今はこいつを死なせてなるものかと、正直ストレスのほうが多い。

   そんな鉢植えに対し、切り花には限りがあり、間もなく消えるという前提で楽しめる。岩崎さんが書く通り、枯れたら哀れを感じるが、ペットロスほどの悲しみはない。植物は生きてはいるが、人の勝手でモノと割り切ることもできるのだ。

   その命を認めてもよし、認めなくてもよし。扱いすべてを己に委ねられる心地よさこそ、岩崎さんが言う「潤い」の本質なのかもしれない。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中
カス丸

ジェイキャストのマスコットキャラクター

情報を活かす・問題を解き明かす・読者を動かすの3つの「かす」が由来。企業のPRやニュースの取材・編集を行っている。出張取材依頼、大歓迎!