「牛丼を箸で食べるやつ、初めて見た」と言われた会社員。同僚と食事した際に起きたこの出来事を、インターネット掲示板に投じた。実は本人、スプーンで牛丼を食べることがほとんどで、そのときはスプーンが遠くにあったために箸を取っただけだが、「そんなに馬鹿にされることなのか」と憤っている。
掲示板には「牛丼にはスプーン派」ユーザーの書き込みが少なくないが、記者は逆に、牛丼を箸でしか食べたことがない。最近はスプーン利用が主流なのか。ランチタイムに東京都内の牛丼チェーン店に入り、利用客の動向を探った。
2店舗回った結果、全員同じ
まず一店舗目。箸箱には箸とスプーンが入っており、使いたい方を好きに選べる仕様だ。
店内には5人いたほか、記者とほぼ同じタイミングで入店した客が1人。先客は、牛丼を食べ終えた後か、食べている最中のどちらかで、全員箸を使っていた。記者と一緒に入った1人は、牛肉とご飯が別に盛り付けられている「御膳」タイプのメニューを頼んでおり、箸で食べていた。
20分ほど滞在したが、後から入店してきた4人も、全員「牛丼」を頼み、箸で食べていた。量が少なくなるにつれて食べにくくなるので、途中でスプーンに持ち替える人がいるのではと思ったが、記者が見た限りでは一貫して「箸だけを使う」客しかいなかった。
次に足を運んだ店舗でも、箸かスプーンか、客が好きな方を選べる。同様に20分ほど過ごす間に見かけた計12人の利用客のうち、サラダを食べている女性1人のほかは牛丼メニューを頼んでいた。やはり誰一人として、スプーンを使っていなかった。
奇しくも記者が牛丼チェーン店を見て回った結果と、ネット掲示板への書き込みは真逆だった。
チェーンによって使い分ける人
「牛丼を食べるときはスプーン」派の意見にはどんなものがあるのか。冒頭のネット掲示板には、「食べやすさ」を挙げる声が多い。一度スプーンを使うと、「快適さにひかれる」という。また、「箸で丼ぶりをかきこむのは下品だが、スプーンだとそうせずに済む」との指摘も。一方で、スプーンで丼ものを食べること自体を「はしたない」と言われて育てられたとの声もあった。
「ほとんど箸だが、丼の底に残ったご飯をすくうのにスプーンを使うことはある」人、「牛丼チェーンのブランドによって、箸とスプーンを使い分ける」こだわりの人もいた。