2024年 4月 25日 (木)

従順な人生 土屋賢二さんは飼い主を思い通りに動かす犬に学ぶ

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全文、妻への訴え

   土屋さんの恐妻キャラは愛読者とのお約束であり、今回も概ね妻への伝言である。つまり、従順なふりをして私(土屋)を思うままに操る手もありまっせという助言、あるいは、私は奴隷のふりをしてあなた(妻)を手のひらで転がそうとしているのに上手くいかないという告白。どちらにしても、すべては筆者から「従順ではない妻」への訴えなのだ。

   土屋さんの連載は、まじめに冗談を連ねるところが売りである。まあ、そんな「分析」を試みること自体、すでに先生の遊びに付き合うことになるのだが。

   今作で笑ったのは「紀元前五世紀の古代ギリシアで奴隷の身でありながら『わたしは何と自由なんだ! 何もかも思い通りだ!』と叫んだ詩人アルキクセノスをご存じだろうか」という問いだった。土屋さんはギリシャ哲学の専門家である。

   うむ、どこかで聞いたような話だなと思いつつ先を読むと、「知っていると答えた人は、わたしがいま考えついた人物をどうやって知ったのか説明してもらいたい」と続く。悔しいが見事にだまされた。本題とは何の関係もない小ネタ、そうした「特典」も魅力...おっと、このへんでやめておこう。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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