2024年 4月 20日 (土)

サッカー林大地「五輪」で躍動 メキシコ、南アを制したFWの力量と闘争心

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相手DFを右手だけで

――では第2戦、メダル候補のメキシコ戦。林選手の評価はいかでしょうか。

坂本:この試合では、南ア戦のようにシュートは打てませんでしたが、逃げずにボックスで構えることで相手CBを自由にさせていませんでした。また、CBを引き連れることで、スペースも作って、おとりのようにもなっていました。かなり、効いていたと思います。

――メキシコ戦では僕も驚いたプレーがありました。1分47秒、寄せてきた相手DFの左胸を、右手一本で制していました。その証左に、驚いたメキシコ選手は両手であきらかなプッシングをしていました。こちらのシーンを解説頂けますか。

坂本:人間の体には強い所と弱い所があります。この時、大地がおさえた部位がまさにそうなのですが、相手が嫌がる箇所で、「競り」の技術の一つです。ただ、これもテクニックが必要で、手で押したらファウルです。そうではなく、体と一緒に腕を畳みながら接触させるような感覚です。

――林選手の73分の守備はどうでしょうか。お尻と両腕を連動させた体の入れ方だったと思います。

坂本:両手を使って、相手を押さえるというのは理想ではありません。両手で押さえると、腰が下がります。その体勢はプレーの精度を落とします。理想は、半身で入ってコースを押さえて、逆側に回られたら体の位置を変える。その時に相手選手の体のどこを半身で押さえるか。相手選手をどのように感じるのかもポイントです。あのシーンでは、相手選手がいて、ボールを奪おうとしてくるので、最終的に腕が後ろに下がってしまったのだと思います。

――坂本総監督は、林選手にスピードはないと指摘されていましたし、本人も認めていました。しかし、試合を見る限りは決して遅い選手には見えません。これも先ほどから坂本総監督がおっしゃられているステップが関係しているのでしょうか。

坂本:私の指導の基本の一つが、「いかに早く走るか」。たとえば、スタートダッシュの頭の位置ですが、大地の走り方を見ても頭を下げた走り方はしていませんよね。
 あとは、「カカトから入る走り方ではなく、つま先から地面につけなさい」とも指導します。理想として指導しているのは、頭部の位置は別にして、ウサイン・ボルトのスタートダッシュです。ボルトは、つま先を正面に向けてスタートを切っていません。最初の3~5歩は外側に向けて、そこから正面につま先を向けています。そのスタートの練習はかなり取り組ませました。

――それが生きているのかもしれませんね。

文:石井紘人(いしい・はやと)
   ラジオやテレビでスポーツ解説を行う。主に運動生理学の批評を専門とする。著書に『足指をまげるだけで腰痛は治る』(ぴあ)『足ゆび力』(ガイドワークス)など。『TokyoNHK2020』サイトでも一年間に渡り、パラリンピックスポーツの取材を行い、「静寂から熱狂そしてリスペクト」などを寄稿。
   株式会社ダブルインフィニティ代表取締役でもあり、JFA協力、Jリーグと制作した『審判』、日本サッカー名シーン&ゴール集『Jリーグメモリーズ&アーカイブス』の版元でもある。

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