ワクチン副反応で発熱「冷却シート」をおでこに 「体温下がらない」医師が指摘

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   新型コロナウイルスのワクチン接種で、副反応の発熱に苦しむ人がいる。対策として、「冷却シート」が重宝されている。ツイッターには、高熱が出て「おでこに貼った」といった書き込みが多数ある。

   素朴な疑問だが、おでこに冷却シートを貼ったら、体温は下がるのか。J-CASTトレンドは、「五本木クリニック」院長の桑満おさむ医師に取材し、冷却シートの役割について聞いた。

  • 冷却シートをおでこに…の意味(画像はイメージ)
    冷却シートをおでこに…の意味(画像はイメージ)
  • 冷却シートをおでこに…の意味(画像はイメージ)

「スッキリして気持ちいいよ、という程度」

   桑満医師は、日常生活にあふれている医学についてブログで分かりやすく解説している。 冷却シートを、体温を下げる目的で使えるか。桑満医師の答えは「ノー」だ。

「冷却シートは発熱時の火照った体に貼って不快感をなくすものであって、解熱、つまり熱を下げる効果はありません。貼るとスッキリして気持ちいいよ、という程度」

   冷却シートの使用自体が「意味なし」というわけではない。「清涼感が得られる」点がメリットだ。発熱すると、頭がぼーっとする。つらくて眠れなくなる。そうした時、おでこに貼ることで、貼った部分がすーっとして、快適に眠れるようになるかもしれない。十分な睡眠は、体力回復には大切だ。気持ちを楽にする助けとして使うのは「あり」だと桑満医師。

   冷却シートを「首周り」「脇」「太ももの付け根」に貼ることについては、こう説明した。

「体温を下げる効果はないので、わざわざその3か所ではなく、気持ちいいと感じるおでこに貼ったら良いのではないでしょうか」

   では、実際に発熱時、体温を下げるにはどうするか。桑満医師によると、冷凍庫で冷やして使う冷却枕や氷枕を当てると良い。こちらは、「体温を下げる効果があります」。その際、おでこよりも、「首周り」「脇」「太ももの付け根」の血管の3か所に当てると、より効果的に冷やせる。理由は、体の表面に近く、太い血管が通っているからだ。おでこには、太い血管は通っていない。

「太い血管を冷やすと、冷えた血液が全身を回り、体温が効率よく下がります」

   使うときは、肌に直接当てず、タオルに包むか洋服の上から当てるようアドバイスした。

貼った部分は冷えるかもしれないが

   とは言え、冷却シートをおでこなどに貼ると、体温が下がるイメージがある。

   例えば小林製薬「熱さまシート」。公式サイトの製品紹介には、「熱さまシートに含まれるたっぷりの水分が熱を吸って蒸発するので、約8時間後でも変わらず皮ふの温度を-2℃冷やし続けます」とあり、一見すると体温が2度下がるように思える。

   桑満医師は「各メーカーはいかにも体温が下がるように表記していて、ユーザーを惑わせる表現がすごく多い」と指摘する。「貼ったその部分は冷えるかもしれませんが、全身は冷えません」。

   J-CASTトレンドが小林製薬に取材したところ、前述の製品紹介部分について「ジェルに含まれる水分が熱を吸って蒸発するため、特定の条件下(25℃の環境の室内で額に貼り付けた場合)では、貼り付けた部分の皮ふ表面の温度が8時間後にも、通常より2℃下がっている状態になっているという意味です」との説明があった。また、「熱さまシート」自体には「解熱、体温を下げる」機能はないのか改めてたずねると、「そのご理解で間違いございません」との回答だった。

   そもそも新型コロナウイルスのワクチン接種後に熱が出るのは、からだの中でいきなり抗体が作られ始めるため。それが全身に回り、反応として熱が出る。「当たり前の自然な反応です」。桑満医師は、副反応で発熱した場合、「患者さんには風邪引いたときと同様『寝ちゃいなよ』と言います。そのためにも、翌日、翌々日は企業が『ワクチン休暇』を取り入れるべきだと思う」と見解を示した。

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