2022年 7月 4日 (月)

「給付型奨学金」拡充か 貸与型多い今は「卒業時に借金が数百万円」も

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   大学生らを対象とした「給付型奨学金」が拡充される見込みだ。年収600万円までの世帯が対象になるという。しかし、学部や、世帯の子の人数などで、実際の給付対象者はきわめて限定されるのではないか、という疑問の声も出ている。

  • 大学卒業しても、奨学金の影響で高額の借金が残ってしまっては…(画像と本文は関係ありません)
    大学卒業しても、奨学金の影響で高額の借金が残ってしまっては…(画像と本文は関係ありません)
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現在は低所得層対が対象

   読売新聞は2022年4月18日、「給付型奨学金、理工農学系や子供3人以上の世帯で拡充へ...年収上限600万円目安に」と報じた。以下の内容だ。

「政府の『教育未来創造会議』(議長=岸田首相)が5月にまとめる提言に、中間層世帯の大学生らを対象とする新たな修学支援が盛り込まれることが分かった。既存の給付型奨学金や授業料減免の支援制度を拡充し、世帯年収の目安が380~600万円の家庭への支援を新設する。理工農学部系の学生や子どもが3人以上の多子世帯が対象となる見通しだ。中間層の教育費負担を軽減する狙いがある」

   同紙によると、現在、大学の学部生などが対象の給付型奨学金制度は、主に低所得層向けで、中間層の多くは貸与型を利用している。現行の給付型奨学金制度は、親の年収や学校の国公私立の別などに応じて、授業料や入学金の減免額と生活費などを賄う奨学金の支給額が決まる。

   現行制度では、私立大学に通う独り暮らしの学生の場合、全額支援を受けられる住民税非課税世帯で、給付型奨学金が年約91万円、授業料減免が年約70万円となる。新たに拡充される、年収の目安が380万~600万円の世帯の学生に対する支給額は、全額支援の4分の1程度になる見込みだ、と解説している。

世代間で認識に大差

   この政府の新方針に、さっそく反応したのは、立憲民主党の小沢一郎衆院議員だ。同日、事務所の公式ツイッターを更新。

   「いま年収600万円以下で子ども3人以上の世帯がどれだけあるのか?」「ニーズがないから予算を節約できるとでも考えているのか?完全に国民を馬鹿にしている」と疑問を投げかけた。

   インターネットでは「一歩前進」と評価する声も多いが、「参議院選目当て」という指摘や、学部による分断などを危惧する意見も出ている。

   日本はOECD(経済協力開発機構)加盟国の中で、高等教育への公財政支出の割合は最低クラス、国の「給付型」奨学金がなかったのも、日本ぐらいだと指摘されてきた。

   2017年に刊行された『奨学金が日本を滅ぼす』(朝日新聞出版)によると、「奨学金問題」の深刻さについては、老若の世代間で認識に大きなギャップがある。互いに「言葉も通じない」ほど。なぜなら半世紀前と今とでは、学生の置かれた状況が全く異なるからだという。

300万人の署名

   同書の著者、大内裕和・中京大学教授によると、1969年の国立大初年度納付金は1万6000円(うち授業料は年間1万2000円)。それが2016年は81万円強(うち授業料は53万円強)。物価は3倍強だから、大学教育にかかるコストは跳ね上がっている。

   1969年当時の育英会奨学金には「一般貸与」のほかに、「特別貸与」制度があった。毎月8000円貸与されるが、返済義務は3000円のみ。5000円分は実質給付だった。

   「特別貸与」の奨学金は、「特に成績が優秀で,経済的な理由により就学困難な学生」が対象とうたわれていた。しかし、文科省の1969年のデータによると、貸与者は「一般」と「特別」がほぼ同数。かなり幅広く支給されていた。この「特別貸与」は1984年の制度改正まで続いていた。

   ところが、同書刊行時の日本学生支援機構(日本育英会の後身)の奨学金は、すべて貸与型。2012年には大学生の52.5%が奨学金を利用していた。20年前は21.2%だったから急増し、大半が利子付き。月12万円まで借りられることもあり、卒業時に借金が数百万円という例は珍しくないと同書は指摘していた。

   大内さんは13年には全国組織「奨学金問題対策全国会議」を共同代表として設立。活動がマスコミにも注目されるようになり、14年には延滞金の利率が年10%から5%に軽減されるなどの成果があった。給付型奨学金の導入を求める全国署名は、16年3月には300万を突破した。こうした声などに押され、政府は同年12月、18年度から住民税非課税の1学年2万人を対象に給付型奨学金の導入を決めたという。

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