ガチ中華から脱却へ「海底撈火鍋」 日本人向けに「辛くないスープ」も

火鍋初心者にうれしい具材

   四川火鍋は内臓系の具材が人気で、海底撈でも取りそろえているが、日本人にとってはハードルが高いものも少なくない。そこで山本さんに、火鍋初心者の日本人にぜひ食べてほしい具材を教えてもらった。

「魚卵入り魚肉団子と魚介チーズかまぼこは、日本の鍋に入れても違和感のない味で、どのスープにも合う。新鮮なエビを使ったエビつみれも、ぜひ食べてほしい」

センマイ（左）とエビつみれ

「湯葉と揚げ湯葉は、誰でも食べやすい安心具材。サツマイモ春雨は通常の春雨より歯ごたえがよく、お勧めです」

左から鴨の血、湯葉、揚げ湯葉

「火鍋の肉の定番はラム、牛、豚の薄切りですが、日本人に人気の牛タンも用意しています。また、内臓の中でもセンマイは、日本の焼き肉でも使われる部位なので、違和感が少ないと思います。鴨の血は定番中の定番で、見た目に反して癖もなくおいしいので食べてほしいです」

手作り揚げ餅。黒蜜をかけて食べる

「四川省のおやつである手作り揚げ餅。現地では箸休め的に食べられています」

   日本人にとって見慣れない具材も少なくない。例えば「豚の脳みそ」。

   山本さんは「一度チャレンジしましたが、先入観で僕は無理でした。でも中国の人には人気なので、チャレンジしたい方はぜひ」と紹介した。

調味ダレを自分好みに配合し、昆布だしに投入するDIYスープが大人気という

レモンや玉ねぎのみじん切りで、トムヤムクン風スープへの「味変」を楽しむこともできる

   最後に、「DIYスープ」についても教えてもらった。

   シンプルな「昆布だし」に好きな調味ダレを入れて、自分好みのスープにする「DIYスープ」。中国の若い人の間で人気で、さまざまなレシピがSNSに投稿されているそうだ。

   お店では、中国のSNSでバズっている「トムヤムクン風スープ」にしてもらった。レモンやごま油、玉ねぎのみじん切りなどを加えたスープはさっぱりしていて、夏でも食が進む。詳しい作り方は、お店でスタッフに聞いてみてほしい。

【連載】浦上早苗の「試験に出ない中国事情」

浦上早苗

経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員。福岡市出身。近著に「新型コロナ VS 中国14億人」（小学館新書）。「中国」は大きすぎて、何をどう切り取っても「一面しか書いてない」と言われますが、そもそも一人で全俯瞰できる代物ではないのは重々承知の上で、中国と接点のある人たちが「ああ、分かる」と共感できるような「一面」「一片」を集めるよう心がけています。
Twitter：https://twitter.com/sanadi37