2024年 5月 4日 (土)

緑色の効用 壇蜜さんは有名ホラー映画の絶叫シーンで救われた

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豆スープが接点に

   飾らない文章が魅力の壇蜜エッセイ。今回もすっと読めた。

   彼女が触れた「有名ホラー映画」とは、もちろん1973年の米国作品「エクソシスト」である。リンダ・ブレア演じる少女リーガンに悪魔が取り憑く話。緑の液体を神父に吐きかけるグロテスクなシーンの撮影には、「小道具」としてエンドウ豆のポタージュが使われたとされる。そんなエピソードも筆者自作のイラストで添えられている。

   恐怖映画の中の緑色に、わずかながら救われる...地獄で仏か。コンクリートジャングルの公園や遊歩道にも、同様の効果や役割がある。緑豊かな三多摩地区で生まれた女性の「緑ロス」で始まる本作は、あの手この手でこの色の効用を説明していく。

   緑が嫌い、グリーンが苦手という人はそういない。植物の色である。万人に好まれるのは、同じ生物としての親近感ゆえだろうか。都市の緑には、日陰をつくってヒートアイランド現象を和らげる仕事が期待されているし、何より見た目が人を癒やす。

   いちおう食にまつわる連載なので、そこからどう展開するのかと思いきや、筆者はホラー映画を持ってきた。「撮影に使われた豆スープ」という一点で辛うじて「食」とつながる仕掛けだ。それもやや強引に「いま吐き出されるべき色」として。

   本作で349回を数える人気連載だけに、編集者が筆者に与えた「自由度」は相当に大きいと見た。壇蜜さんもそれを楽しんでいる風なのがいい。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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