2024年 4月 28日 (日)

校閲泣かせの方言 薄奈緒美さんは自身の新潟言葉に教えられた

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総じて慎重な新聞

   新聞や雑誌、単行本の品質管理において、校閲部門は最後の砦にあたる。ここをすり抜けた誤りは、商品とともに読者のもとに届けられ、誤りを再生産することになる。現役校閲者によるコラム(今作が203回)のネタが尽きないのは、それほど大量の誤りが関所にたどり着くということ。他紙や出版各社でも同じはずだ。

   校閲者でさえ、自分が長らく使ってきた方言を標準語と思い込むのだから、書き手が同じ勘違いをしていても不思議はない。かつて原稿を出す側にいた私が、一読して「安心」した理由もそのへんにありそうだ。

   間違わないための目安のひとつは、辞書にあるかないかである。「鼻を曲げる」も「かかる」も「大洋紙」も手元の辞書にはない。ただし複数の府県にまたがるような言葉は載ることもある。例えば、片づけるという意味で使われる「片す」(東北や関東地方)「直す」(西日本)は、使用地域を示して広辞苑に収録されている。

   こうして見ると、方言と標準語の境界はぼやけてくる。いわゆる標準語以外の言葉がどこまで許容されるか。同じことは日々生まれては消えていく新語についても言える。 辞書ほどではないにしても、新語の採用について新聞は保守的である。薄さんも「理解できない人がいる言葉は使わない方がいい」と慎重だ。

   どこかに融通の利かない門番がいてくれないと、日本語はどんどん漂流してしまう。その意味でも、どこかホッとする連載コラムである。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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