愛のため「スカートをはいたおじいさん」 恩人の妻のフリをして...

【明日のベストセラー(72)】

「気分に合わせて音楽のプレイリストを選ぶように、漫画も気分に合わせて楽しんでほしい」

   漫画のクチコミサービス「マンバ」（東京都港区）が、今この時期に読むのにピッタリな作品を紹介する「明日のベストセラー」。漫画のクチコミサービス「マンバ」（東京都港区）が、今この時期に読むのにピッタリな作品を紹介する「明日のベストセラー」。　 9月は敬老の日に合わせて「年を重ねて輝くシニア」というテーマでピックアップする。

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  「スカートをはいたおじいさん」

「人生最後の恩返しのチャンス」受け、愛の決断

   第72回は、若いころ密かに思いを寄せていた恩人と介護施設で再会する「スカートをはいたおじいさん」（著・ちべた店長/イトウモロコ）。若い頃は劇団で俳優をしていた主人公・准は余生を施設で過ごしている。そこで数十年ぶりに恩人の日向と再会するが、彼は認知機能が低下し准のことをすっかり忘れていただけでなく、いつまでも施設に来ない亡き妻のことを心配し生きる気力を失くしていた。

   そんな日向の姿に心を痛めた准は「人生最後の恩返しのチャンス」だと、夜の間だけスカートを履いて、亡き妻のふりをすることを決意する。図らずしもやって来た、想い人との再会。擬似的にでも、「妻という立場でともに過ごすことが出来る」という喜びの裏には、常に切なさと葛藤が伴う。日向の容体の悪化を受けて准が下した、自己よりも他者の幸福を願う決断に深い愛を感じずにいられない。全2巻。1話はこちら。