新型コロナウイルスによる死者が、国内で増え続けている。2023年1月に入ってから、何度も「過去最多」を更新している。しかし、メディアによって死者数に微妙な違いがある。16日朝現在、「503人」を最多とする報道もあれば、「523人」という報道もある。なぜ食い違いが起きているのだろうか。
NHKやTBSは503人
NHKは1月14日 16時30分、「新型コロナ 全国の死者数503人 一日の発表としては最多」とネット版(以下同)で報じた。TBSテレビも14日 16時02分、「新たな死者は503人で過去最多」、毎日新聞も16時23分、「全国のコロナ死者503人、過去最多更新」と伝えている。これらのニュースでは、14日段階での「過去最多」は「503人」だ。
ところが、共同通信は前日の13日19時18分、「新型コロナ死者523人、過去最多」と配信。すでに「503人」を20人上回る人数を報じている。読売新聞も同日21時17分、「国内コロナ死者523人、過去最多を更新」と伝えている。
ちなみに、この日のNHKは17時21分、「480人死亡」。共同通信や読売新聞の523人とはかなりの違いがある。
同じようなずれは、このところ頻発している。
1月11日の朝日新聞は19時44分、「新型コロナ 死者520人を確認 500人超えは初」と伝えた。読売新聞や、共同通信の配信を受けた東京新聞も同夜、同内容の記事を掲載している。
朝日、読売、共同通信によれば、国内のコロナ死者は11日に初めて500人を突破、520人になり、さらに13日には過去最多の523人に増えた。
ところがNHK、TBS、毎日新聞によれば、14日に初めて500人を超え、過去最多の503人になった。
厚労省は「0時時点」の集計
基本的な集計数字のズレは、なぜ起きているのだろうか。
14日の「最多503人」という記事に対しては、「この間、520人って言ってたけど」というコメントが見られる。発表数字の違いに気づいている人もいるようだ。
考えられるのは、集計の締め切り時間の違いだ。NHKは常に「厚生労働省によりますと・・・」と、ソースを明示して報道している。
厚労省のウェブサイトを見ると、コロナの死亡者数は、「0時時点」で集計していることがわかる。つまり、本日の発表数字は、実はその日の死亡者数ではない。
ところが、朝日新聞は、当日の「午後7時現在」の人数で書いている。共同通信のデータを掲載している東京新聞は午後7時半、読売は午後8時だ。それぞれの紙面では注記を入れている。厚労省の集計数字よりも、締め切りが大幅に遅い。つまり、当日の午後7~8時までの人数がカウントされている。
各都道府県は夕刻に感染者数や死者を公表している。それらの最新の数字が反映されているのが朝日、読売、共同通信だと推定できる。現在のように、死者が増えている状況だと、遅い締め切り時間を基にした集計の方が、死者の人数が多くなる可能性がある。その結果、ずれが生まれている、とみられる。
毎日新聞の掲載人数は、厚労省の集計を基にしている。15日の朝刊に掲載されている人数は、「14日午前0時現在」と明示している。そのため紙面では、「自治体の発表と異なる場合がある」とお断りを入れている。