美少年、美少女が艶かしく 山本タカト『幻色のぞき窓』


ファン垂ぜんの決定版『幻色のぞき窓』

   芸術新聞社が2010年4月末に発売した新刊本『幻色のぞき窓』(著・画/山本タカト)が評判だ。

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   山本タカト氏は「平成耽美主義」と呼ばれる独特の画風で知られる画家で、「ヘルマフロディトゥスの肋骨」、「殉教者のためのディヴェルティメント」、「ナルシスの祭壇」など、その妖艶きわまる作品集の数々は人々に大きな衝撃を与えている。

   今回の『幻色のぞき窓』の舞台は、山本氏自身が居住する、文化の香り濃い鎌倉。この地に移り住んでから約10年、作品制作の合間に散策をしながら書き留めたという「脳裏に響いた言葉」がページを埋める。基本、エッセイで、目に映る鎌倉エリアの光景を個性的な表現をもって書き綴っているのだが、挿入されている官能的な美少年・美少女たちの絵は思わず息をのむ。大部分は手足を縛られた無抵抗な姿で、視線は力なく虚空をさまよい、アンニュイな雰囲気に包まれている。

   ブックデザインは桑名飛呂伸氏が担当。厚い表紙の真ん中には「のぞき窓」がつくられ、背後からスカルに迫られた美少年の華奢(きゃしゃ)な半身がのぞく。

   A5判・上製/160ページ。定価3465円。

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