外国人の目通した「3・11」 「大震災と日本人」どう描かれたか

   まもなく「3・11」を迎える。東日本大震災直後の日本人の冷静な対応と助け合いの精神は各国から称賛された。あれから2年、明日へ向けた取り組みは始まっているが、復興は進まず、人々の心の傷はなお深い。震災と日本人――日本に住む外国人の目にはどう映っているのか。J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」(https://books.j-cast.com/)でも特集記事を公開中

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帰国せず被災地にとどまった英国人


『前を向いて、歩こう。 「石巻のイギリス人」からのメッセージ』

   『前を向いて、歩こう。 「石巻のイギリス人」からのメッセージ』

   「震災と原発の不安から帰国する外国人が相次ぐなか、被災地・石巻に残ったイギリス人」。東日本大震災直後のこと、そう伝えるテレビニュースを見て感激した編集者がいた。彼女もまた宮城県石巻の出身だった。さっそく、「この人のことを本にしたい」と上司に提案した。そうして生まれたのが、サンマーク出版の『前を向いて、歩こう。 「石巻のイギリス人」からのメッセージ』(著・リチャード・ハルバーシュタット、1365円)だ。

   著者は石巻に暮らして約20年、石巻専修大学理工学部准教授としてすっかり地域社会に溶け込んでいた。その彼に大使館からメールが届く。帰国勧告を受け、仙台に向かった。東京を経由して成田からイギリスへ立つ手筈だったのに、石巻へUターンした。「大切な仲間を見捨てることはできなかった」。その思いと復興への誓いを綴る。

シャネル日本社長が描く震災の物語


『波 蒼佑、17歳のあの日からの物語』

   『波 蒼佑、17歳のあの日からの物語』

   著者はシャネル日本法人社長、在日約40年の親日家だ。ビジネスマンでありながら、作家というもうひとつの顔を持つ。集英社からの『波 蒼佑、17歳のあの日からの物語』(著・リシャール・コラス、訳・松本百合子、1890円)は、被災地の宮城県気仙沼市を舞台にした長編小説だ。

   主人公の蒼佑は高校2年生。初恋に胸ときめかして迎えた3月11日の誕生日、経験したこともない激しい揺れに襲われ人生のすべてを失う。途方に暮れる彼の前に見知らぬ青年が現れる――。ふたりの若者を通して被災地や日本の現状が描かれる。震災直後から社内のチームと共に続けている被災者のためのメーキャップのボランティア体験が作品に厚みを与えている。

アメリカの被災者のメンタルヘルス


『災害で傷ついたあなたへ 自分のこころをケアする方法』

   『災害で傷ついたあなたへ 自分のこころをケアする方法』

   東日本大震災発生間もない、日本中がショックに打ちのめされているとき、訳者はタイトルにひかれ本書の原書を読み始めたという。大災害に見舞われた米国の被災者たちのメンタルヘルスに取り組んだ経験をもとに書かれているが、読み進むにつれ震災で痛手を受けた日本人のひとりとして気が楽になっていくことに気づいた。阪急コミュニケーションズからの『災害で傷ついたあなたへ 自分のこころをケアする方法』(著・イレーナ・シンガー、訳・栗原泉、1890円)は、米国の心理療法士による災害のトラウマを癒す処方箋だ。

   復興が進み住宅や道路が修復され市街地が戻ってきても、災害を生き延びた人たちのこころの傷を治すことはできない。ケーススタディーをもとに具体的な対処法を示す。

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