「新大統領誕生」イランの素顔 「陽気で実はアメリカ好き」「こんな恋愛事情も」

   何かと「過激さ」が話題になるイランで、穏健派のハッサン・ロウハニ師が勝利を収めた。先日行われた大統領選である。最高指導者ハメネイ師のもとで、核開発問題や欧米との関係修復など緊張緩和は期待できるのか。世界が注目する中東の最も気になる国・イランの今後を占う。

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日本人以上に建前と本音のギャップ


『イランはこれからどうなるのか 「イスラム大国」の真実』

『イランはこれからどうなるのか 「イスラム大国」の真実』

   世界を小学校の教室にたとえると、教室にはリーダー役や世話好きもいれば、いたずらっ子や乱暴者もいる。アメリカ君やロシア君は身体も大きく、強そうだ。北朝鮮君やイラン君はどうだろう。新潮社の新潮新書『イランはこれからどうなるのか 「イスラム大国」の真実』(著・春日孝之、777円)は、このところお騒がせなイラン君は本当のところ何を考えているのか、性格分析などからその素顔に迫ろうという試みである。

   毎日新聞の特派員として4年間テヘランに滞在した著者によれば、イラン人は日本人以上に本音と建前のギャップが大きいそうだ。表向き「反米」を掲げながら、実はアメリカ的なものが大好きで、心の底では対米関係の修復を望んでいる。そんなイランの市民生活や風俗の実態にも触れて、核開発疑惑や政治体制の今後を解説する。

イスラーム民族の歴史の興亡


『中東イスラーム民族史 競合するアラブ、イラン、トルコ』

『中東イスラーム民族史 競合するアラブ、イラン、トルコ』

   世界小学校の教室には、イラン君のほかにイラク君やトルコ君もいる。昔から中東グループのメンバーでライバルとして張り合ってきた。イラク君はイラク戦争後の新しい秩序を模索中だ。トルコ君はEU加盟をめざし、2020年のオリンピック開催へ名乗りをあげている。イラン君のところは大統領選挙で穏健派が勝ち、これまでの突っ張り姿勢に変化が見られるかもしれない。

   中央公論新社の中公新書『中東イスラーム民族史 競合するアラブ、イラン、トルコ』(著・宮田律、924円)は、イスラムを共通基盤として競合と協調を繰り返してきた3民族の歴史をたどり、欧米、ロシア、イスラエルを巻き込んだ地域の興亡を描く。2006年の初版だが、骨太な構図が描かれ現代のイスラム世界を理解するうえで貴重な1冊だ

イラン出身の吉本芸人が語る面白エピソード


『イラン人は面白すぎる!』

『イラン人は面白すぎる!』

   日本で暮らすイラン人として悲しく思うのは、イスラムに対する日本人の過剰な拒絶反応という。過激なデモや核開発疑惑からイランといえば「危険なテロリスト国家」のイメージが染みついている。でもそれは違いますよ、というのが、光文社新書の『イラン人は面白すぎる!』(著・エマミ・シュン・サラミ、798円)だ。だって、イラン人はこんなに面白くて陽気なのだから。

   著者は1980年、イラン生まれだが父親の都合で10歳のとき来日し、北海道帯広市で日本での生活をスタートさせた。吉本興業のタレント養成所・NSC東京校第8期生で、お笑いコンビ「デスペラード」を結成、ライブやテレビ、ラジオで活動している。恋愛事情など様々なエピソードを通して本当のイスラム文化を知ってほしいと願う。

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