話題の「おにぎらず」は定番メニューになれるのか?

   2014年9月、突如ネットでブレイクした「おにぎらず」。作るのが簡単と話題になったこの握らない「おにぎり」は、テレビ番組でも取り上げられ、いまだ関心は高いようだ。

   料理レシピサイト「クックパッド」には14年10月30日現在、94件のレシピ投稿が寄せられ、検索キーワード週間ランキング(10月20日~26日)でも6位につけている。

「おにぎらず」イメージ(編集部作画)
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実は24年前に発表されていたレシピ

   もともとは講談社の漫画雑誌「モーニング」に1990年に掲載された人気漫画「クッキングパパ」の第213話(単行本では22巻に収録)で紹介されたレシピ。娘が生まれたばかりの主人公・荒岩一味が超多忙のなか考え出したお手軽料理だ。24年も前に発表されているわけで、決して最近になって考案されたレシピではない。9月にクックパッドの検索キーワードで急上昇し、その後、一気にネット上で拡散した。埋もれていた情報が突然脚光をあびる現象はインターネットの世界でしばしば起こる。その一例といえそうだ。

   「クッキングパパ」オリジナルのレシピによれば、のり1枚の上に1杯半のごはんをのせて広げる。お好みの具を並べて、四隅からごはんごと持ち上げて四角に包めばできあがり。「またの名をブラックざぶとん」と命名している通り、見た目は正方形の平べったい「おにぎり」だ。ちなみに、このレシピが載っている「クッキングパパ」第213話がウェブコミックで期間限定で公開されている。

投稿レシピは何でもありの様相

   ネットの投稿は、ほとんど好意的な発言で占められている。やはり、作るのが簡単という意見が圧倒的で、おにぎりと違って具を選ばない点でも評価が高い。ただ、すべて作り手側の目線なのが気になるところだ。味は具次第。ならば、クックパッドの投稿をのぞいてみる。

   ずらりと並んだ投稿写真は、断面が楕円形の「のり巻き」を思わせるが、中の具材は千差万別。豚キムチ、ソーセージ、焼きそば、チーズ、なんでもありの様相だ。具材でしか違いを出せないのだから当然かもしれない。中にはオムライス風と称して、のりの代わりに卵で包むレシピも。それはオムライスそのものだろ、というツッコミが聞こえてきそうだ。酢飯を使う投稿もあるが、「のり巻き」感が強すぎる。

   ところで、「おにぎらず」は日常的な料理として食卓、弁当に定着していくだろうか?

   おかずなら何でも具にできる「懐の深さ」が人気の秘密だが、守備範囲が広いということは、言い換えれば特徴のなさであり、かえってあだとなる恐れがある。一方で、料理というよりもむしろ食べ方の新提案と考えれば、定着する見込みは十分にある。

   一過性のブームに終わってしまうかどうか。「おにぎらず」というアイロニカルなネーミングも影響を与えそうだ。

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