初めにストーリーありき「特捜体質」が生んだ前田検事

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   「最強の捜査機関」が「最低の捜査機関」に転落した。障害者向けの郵便割引制度を悪用した郵便不正事件で、大阪地検特捜部が押収したフロピーディスクの日付を、捜査の指揮を取った主任検事が改ざんするという前代未聞の事件が発覚した。

   最高検は21日(2010年9月)夜、この主任検事の前田恒彦容疑者(43)を証拠隠滅の疑いで逮捕した。

筋悪くても引き返さず

   広島地検検事時代に前田と同僚だった郷原信郎弁護士が番組に生出演した。司会の加藤浩次が「前田容疑者はどういう人物でしたか」と聞くと、「まだ彼が新任検事のころですのでずいぶん昔ですが、図太いという印象が残っています」と話した。

   郷原は今回の主任検事による証拠改ざんについて次のように語った。

「大阪地検特捜部は郵政不正事件を『政治案件』と称して、政治家の働き掛けで厚労省幹部が現場の係長に指示をして、ニセ証明書を作成させたというストーリーを描いた。証拠の改ざんはとんでもない話なのですが、全体として、はじめにストーリーが作り上げられていたところに問題の根本があると思う。
これを個人の犯罪として片付けてしまうのではなく、特捜部の捜査のあり方、特捜事件の扱いなどを含めて考えていかなければいけない」

   特捜事件とは、警察の捜査を受けて起訴するかどうかを決める一般事件と違い、捜査から逮捕、起訴、公判まですべてを特捜部が行い、政治家や官僚、経済人などの著名人を対象にした事件が多い。

   それだけに、「逮捕の段階で容疑者にものすごい社会的影響が生じてしまっており、最初の段階で描いていた見立てが誤っていても後に引けなくなってしまう」(郷原)という。

   強引な取り調べによる供述調書の作成は当たり前、あげくは主任検事による証拠の改ざんというところに行き着いた。前田による証拠改ざんは、今年2月段階で上司である特捜部幹部に報告されていたという。

   それにもかかわらず、特捜部は厚労省の村木厚子元局長(21日に無罪確定)の公判を既定方針どおりに進め、を有罪の方向で進め、有罪の論告を行っていた。

   前田は大阪地検特捜部だけでなく、東京地検特捜部にも応援派遣され著名事件の捜査に当たってきた。郷原は「(前田が)加わった過去の捜査はどうだったのか、全面的に解明しないといけない」と指摘する。

   これまでも、特捜部による密室の強引な取り調べは問題になっていた。取調室の可視化が改めて問われることになりそうだ。

文   モンブラン
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