健全度NO.1の静岡銀行 債権回収に思わぬ落とし穴

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   地銀大手の静岡銀行が、経営破綻した消費者金融「クレディア」の利用者の一部に、クレディアで借りたお金を同行に返済するように求めた文書を送付した。ところが、家族に消費者金融を利用していたことがばれた」などの苦情が相次ぎ、これを撤回していた。静銀は「利用者を混乱させたことは申し訳ないが、法的には問題ない」としている。静銀といえば、邦銀きっての健全銀行で、融資に対しても「石橋を叩いても渡らない」ほど慎重なことで知られ、地元では「しぶぎん」などと揶揄される。そんな優良な地銀がなぜ、こんな混乱を起こしたのだろう。

突然の内容証明郵便で、「意味わかんない」

   静岡市に本社を構える消費者金融のクレディアが民事再生法を申請し、倒産したのは2007年9月14日。利用者からの過払い利息の返還請求が相次いだことで財務状況が悪化。東京証券取引所に上場する消費者金融の倒産は初めてのことだった。

   静岡銀行は同社に約50億円を融資していた。静銀によると、クレディアへの融資契約には、銀行が必要あると認めたときには、担保としている利用者への貸付金を銀行が譲り受けて回収することができる規定(債権譲渡担保契約)を設けていた。静銀はこれを使って、クレディアから利用者の貸出債権を譲り受け、回収に入ったのが「混乱」のきっかけだ。

   静銀が利用者に送付した文書は「債権譲渡通知」といわれるもの。利用者がクレディアから借りたお金を静銀が指定した口座に振り込むように求める内容だ。このことに法的な問題はない。

   しかし、銀行から内容証明郵便が突然届き、開封したら、「クレディアで借りたお金を静銀に返済しろ」では利用者は面食らう。消費者金融問題に取り組んでいる静岡県司法書士会に寄せられた問い合わせには「意味わかんない」「どうすれば、いいの?」という内容が多かったという。

   なかには、「家族に消費者金融を利用していたことがばれた」「なんで銀行からこんな催促が来るんだ」などの苦情も相次いだ。司法書士の古橋清二氏は「利用者とクレディアとのあいだで、自宅へ通知しない旨を契約時に交わしているケースがあります。銀行にすれば、債権譲渡通知はやむを得ないでしょうが、配慮に欠けていたとはいえますね」と話す。

   ちなみに、静銀とクレディアは送付先に対して連名で、静銀が送付した文書を撤回し、これまで通りの返済方法でいいことを再度通知している。

「時間がなかったし、初めてのことでしたので…」

   では、静銀はなにをそんなに急いだのだろう。同行は「回収を焦ったわけではないのですが、とにかく初めてのことですし、時間がありませんでした」という。融資管理部によると、クレディアと交わした融資契約にある「債権譲渡担保契約」を行使するためには、クレディアが倒産手続きに入る前に利用者に「債権譲渡通知」を送付する必要があった。9月14日に倒産したクレディアの手続き開始決定日は同21日で、実質3日しかなかったこと。加えて、送付先が約6000と通常では考えられない多さだったこともあって、「連休(9月15~17日)返上で作業して、ようやく間に合わせました」と説明する。

   通常の売掛債権の債権譲渡であれば、事業者同士のやり取りで済むので送付先も数十件程度だし、文書が何を意味するかもわかっている。今回は送付相手が「個人」であったにもかかわらず、企業への対応と同じように「機械的」に処理したことがアダになったわけだ。

   ある地銀の幹部は、「一般的に、企業が倒産して取りはぐれれば責任問題。他行が動く前に、というのは定石どおり。コンプライアンス・チェックもして法に則って動いたのだろうが、人間の感情がどういうものかを忘れていた。ある意味、仕事に忠実で生真面目な銀行マンが陥りそうな話だ」と分析してみせた。

「静銀は敷居が高いですからね。消費者金融でお金を借りる人がどういう人なのか、もう少し考えたほうがよかったのではないでしょうか」(古橋氏)
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