東京都内を転々とするサル 野生の「迷子」か、捨てられたのか東京・小金井で2008年8月12日、初めて目撃された日本猿は、その後都内を転々とし、つい最近は神田付近で確認された。建物の間を器用に移動し、店からバナナを盗むなど、たくましく生きている。明治神宮に住んでいるといった「都市伝説」さえ囁かれているこのサル、いったいどこからやって来たのか。 大きくジャンプして電線に飛び乗る日本猿は東京都渋谷区の東急東横線渋谷駅構内で2008年8月20日に目撃された。その後は都心部や繁華街で目撃情報が相次いでいる。08年9月5日に放送された日本テレビ系「スッキリ!!」では、リポーターの阿部祐二さんがサルの足取りを追った。 9月4日は千代田区神田淡路町の住宅街にいた。あたりは建物が密集していて、隠れるのに絶好の場所だ。住人から、さっきベランダで見たという情報が入る。その後も住人の話をもとに付近を捜し、カメラはとうとう建物の隙間にいるサルを捉えた。ところがカメラに気づいたのか、すぐに大きくジャンプして電線に飛び乗り、その上を器用につたって逃げた。 番組では「ガレージや物置の隙間で寝ているのではないか。50cmもあれば十分だ」という動物研究家の実吉達郎さんの推測も紹介していた。また、バナナを店から盗って食べたという住民の話もあり、たくましく生きている様子が推測できる。 都内で初めて目撃されたのは8月12日、場所は小金井市桜町だ。東京都福祉保険局環境衛生課動物管理係に寄せられた目撃情報をつなぐとこうなる。 東京都福祉保険局の担当者は、 「目撃された時間や間隔、移動距離から推測するに、同一個体である可能性が高いと思います」 日本猿を飼育するには、自治体に届出て許可をもらわなくてはいけない。東京都福祉保険局は許可を得ている都内の動物園や動物実験施設、個人すべてに確認を取ったが、「いなくなった」という話は出てない。となると、サルはどこから来たのか。 人間に飼われていたサルの可能性が高いサルの動物園「日本モンキーセンター」(愛知県犬山市)の加藤章園長は、 「野生ではなく、飼われていた可能性が高いと見ています。バナナを食べたという話を聞きましたが、野性のサルは木の葉を主食としていて、バナナやりんごは食べません」 と話す。 さらに、野生は通常、明け方や夕方に行動するので、日中、人目に触れる場所に出てくることは考えられないそうだ。また、毛がふわふわしていて、毛の色が淡いのも気になるという。野生はもっと硬くてごわごわして、色は黒々としている。 「山で子猿に会い、かわいいからといって連れて帰り、届出さずに飼う人が意外と多いです。ところが4歳くらいになるとサルが言うことを聞かなくなって、山に捨てる人がいます。飼われたサルは山で暮らせず、人里に戻ります。今回のサルは体型と顔つきからして、4〜5歳だと思います。言うことをきかなくなって、捨てられたのではないでしょうか」 野生のサルは間違って都会に出てきても、執拗に人に追いかけられて方向を見失わない限り、自ら山に帰れるという。しかし、飼育されていたサルの場合は、 「無事に捕獲されなければ、交通事故に遭ったり、電車の架線に感電することがあります」 日本猿を許可なく捕獲することは、法律で禁じられている。捕獲する権限があるのは警察だが、加藤園長は、 「瞬間で時速40〜50kmのスピードが出るため、警察が所有する網や犬用捕獲器では捕まえられません。麻酔銃か吹き矢でないと無理でしょう」 と話している。 近い将来、サル捕獲のための大捕り物が展開されそうだ。
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