2024年 4月 18日 (木)

「モンスター居住者」に泣く家主 クレームつけて家賃踏み倒し

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   賃貸のアパートやマンションに、家賃を払わずに居座る人が増えている。日本賃貸住宅管理協会によると、全国の滞納率は月初めの全体で8.5%(2009年下期)。その後、家主や不動産会社(管理会社)、家賃保証会社の催促などによって支払った人もいて、月末までの1か月の滞納率は3.2%まで下がるものの、いろいろと文句をつけては家賃を払わない居住者は存在する。

   なかには意図的に家賃を踏み倒す人もいて、そんな人を「モンスター居住者」と名付けた丸山輝氏の「家主破綻」(幻冬舎メディアコンサルティング刊)が注目されている。

裁判沙汰、傷害事件も頻繁に

   「家主破綻」の著者、丸山輝氏は自らも賃貸住宅のオーナーであり、家賃保証会社(貸借人保証事業)のフォーシーズの社長でもある。

   丸山氏は、「多くの場合は居住者がうっかり忘れていることが原因なので、後日払ってもらえるのですが、なかには意図的に、家主や管理会社の落ち度を見つけてはクレームをつけて踏み倒そうとする人もいます。決められた家賃を滞納しても、払おうともしない人が少なからず存在し、そのことで迷惑している家主がいることを知ってほしい」と話す。

   本書に登場する「モンスター居住者」は、丸山氏の実体験に基づいている。たとえば、米ロースクール卒業の女社長のケースでは、「物件のオーナーと管理会社が急に代わって住環境が変化したことが契約違反になるので家賃は支払わない」などとクレームをつけてきて、反対に損害賠償で訴えられたり、脱サラでお店をはじめたばかりの人がしばらくしても支払いのめどが立たないので相談に乗ったところ、逆に激怒して包丁を持ち出されたりした。引っ越しするので荷物を処分してほしいと頼まれて部屋へ行くと、ゴミがトラック7台分にもなったゴミ屋敷や、家賃を滞納したまま自国に帰ってしまった外国人入居者などもいたそうだ。

   新たに貸借人保証事業が登場し、広がってきた背景には、こうした家主と借主とのあいだに、裁判沙汰や殺傷事件が頻繁に起こるようになったことがある。

   丸山氏は「モンスターではなくとも、3か月滞納した人は、もう払う気がない人ですね」と話す。家賃滞納者は月3000人ほど。そのうちの約1%が「モンスター居住者」にあたり、明け渡し訴訟などの準備している案件を含めて、常時300件ほどの訴訟を抱えているという。

1年間で24億円分の家賃を立て替え

   貸借人保証事業は、資産家などにアパートを建ててもらい、その家賃を1棟丸ごと保証するような、家賃保証の仕組みとは異なる。家主や不動産(管理)会社の求めに応じて入居者を審査して保証する仕組みで、入居者から保証料を受け取り、入居者が家賃を滞納すれば、家主に対しては家賃を立替払いし、一方で入居者に催促して回収、さらには明け渡し(引っ越し)までを面倒見るのが仕事だ。

   フォーシーズで、2009年8月~2010年7月までの1年間で立替払いが発生した件数は3万7145件、金額にして約24億5190万円にも上る。前年度に比べて件数で40.6%増、金額で28.1%増となった。10年度も増加を予想している。

   現在、貸借人保証事業を営む会社(貸借保証機構の加盟会社)は7社だが、1社でこのような状況なのだから、家賃を払わない人が増えていることは間違いないようだ。

   家賃滞納者が「モンスター居住者」となると、「隣人やご近所までも引っ越してしまうことがあるので、家主としては最悪です」と、丸山輝氏はいう。

   日本賃貸住宅管理協会は、「最近は空室率が上がっていますし、さらに家賃の不払いとなると、賃貸経営そのものが成り立たなくなる可能性があります。家主がラクしているわけではありません」と話す。

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