2024年 4月 20日 (土)

電気ケトルの転倒でやけど事故 「湯漏れを防ぐ」メーカーの対策は

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   水を注ぎ入れてコンセントを差し、スイッチを入れれば短時間で湯が沸く「電気ケトル」。手軽さが消費者の支持を得て、利用が広がっている。

   一方で、電気ケトルが転倒した際に中の湯が漏れ、乳幼児がやけどする事例がいくつもあるという。メーカーの安全対策は――。

消費者庁「湯漏れ防止機能の記載や表示が少ない」

   電気ケトルによる問題点について、国民生活センターは2010年6月9日付の文書で注意喚起していた。事例として紹介されていたのは「水を入れスイッチを入れたら、数分後に蒸気と熱湯が噴き出し、手の甲をやけどした」「湯を注ごうとしたところ、蓋が大きく開き、湯が手の甲にかかり、やけどした」といったものだ。国民生活センターで実際に複数の製品を試験したところ、給湯ロック機能が付いていない製品は転倒の際に湯が容易にこぼれた、満水目盛以上の水を入れると、注ぎ口から湯が噴き出した、といった点が明らかになったと書かれている。

   さらに消費者庁と国民生活センターが連名で2012年11月28日、電気ケトルの転倒による「乳幼児の熱傷事故」に注意するよう文書で促した。2012年10月末までに病院から事故の情報が15件、うち入院が必要なやけども4件報告されたという。重大事故の発生を重く見た消費者庁が、メーカーと業界団体に対策を求めた。

   電気ケトル転倒時の安全対策として、ふたにパッキンを取り入れて漏れにくい構造にする、電源コードと本体との接続部分をマグネット式プラグにして、コードに引っ掛かっても外れやすくする、といった案が示されている。一方、湯漏れ防止機能の記載や表示が少ないと指摘。消費者が安全対策の有無を判別できるように、商品の外箱やカタログ、取扱説明書での表示拡充といった工夫を要請している。

   電気ケトルの主要メーカーは、国内外合わせて少なくとも10社はあるようだ。安全面でどのような対策を講じているか。電気ケトルのヒット商品「ティファール」を販売するグループセブジャパンはJ-CASTニュースの取材に、商品の安全性を高める取り組みを強調した。台座の部分にあたる電源プレートの安定性を高め、倒れにくい設計を取り入れているという。一方、倒れてしまった場合は「一部にロック機能を取り入れている」というが、主流の製品はそれがないため湯漏れは避けられない。そのため「ケトルが倒れると湯がこぼれてやけどの原因になる」との注意を、取扱説明書を中心に記載していると説明する。

湯が漏れてやけどのクレーム「1件も受けていない」

   象印マホービンも、電気ケトルの安全設計を実践していると訴える。特に湯漏れ対策として、「構造上、転倒しても湯がこぼれにくいうえ、給湯ロックもつけています」と広報担当者。現在販売中の5製品すべてにロック機能が備わっているという。この点はグループセブジャパンと異なる。

   消費者庁が文書で要請した「安全対策の表示の工夫」について、グループセブジャパンでは「商品を梱包する箱やウェブサイトで取扱上の注意を示しています」と話し、象印でも同様に「商品の外箱にはイラスト入りで『倒れてもこぼれにくい』『給湯レバーをはなすと自動ロックがかかる』などと説明を入れています」とのことだ。購入者から電気ケトルの湯漏れが原因でやけどを負ったとのクレームの連絡は、両社ともこれまで1件も受けていないと話した。

   メーカー側による周知だけでなく、消費者側もリスクを回避する努力が必要だろう。ある電気ケトル利用者は、「満水ラインを超えて水を入れないように、との注意書きがあちこちに見られた」と話すが、こういったメーカー側からのメッセージを無視して使っては事故を防ぎきれない。

   2013年6月6日付の東京新聞電子版では、メーカーの安全策徹底の必要性を指摘しつつ、電気ケトルが普及している欧州では日本のような転倒によるやけどという問題が起きにくいとある。乳幼児が届きにくい場所に置かれ、また沸かしたらその場で使い切ることが多いのでケトルに湯が残って乳幼児にかかる危険性がそもそもないそうだ。

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