高橋洋一の自民党ウォッチ
評価できる「韓国軍への銃弾供与」 批判的な一部マスコミは的外れだ

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   安倍政権は国連と韓国政府の要請を受け、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)で陸上自衛隊の銃弾を派遣団の韓国軍に無償譲渡した。菅義偉官房長官の談話では、今回の提供を武器の輸出を禁じた武器輸出三原則の例外扱いとしている。

   これに対して、マスコミの意見が大きく割れていている。朝日新聞と毎日新聞の社説は、武器輸出三原則の例外扱いにすることに疑問を呈したり批判したりしている。政府のいう緊急性について、韓国政府と日本政府の説明の食い違いを指摘し、慎重な対応が必要としている。一方、産経新聞の社説(「主張」)では、そもそも武器輸出三原則が国際常識に合わないので、その見直しをすべきだと主張している。

「尖閣の中国漁船衝突事件」時と比べてみると

   ここで、ポイントになるのが緊急性である。この点で、今回の政府の情報公開に対する対応は評価できる。思い起こすのが、2010年に尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件である。その状況は海上保安庁によって録画されていたが、当時の政府は公表しなかった。録画ビデオが職員の誰でも見られる共有サーバーにあったことから、当初は公表予定であったが、その後公表不可に方針変更されたものと、筆者は推測していた。すぐにビデオを公表し国際社会へアピールすべきだったと思ったが、実際には公表されずにビデオ流出という最悪の展開だった。

   今回政府は、韓国からの要請があったとして、具体的には、現地に展開中の韓国隊部隊長と在日大使館から要請を受けたとすぐに公表している。日本の小銃弾はNATOと米軍のものと互換性がある中、日本に要請してきたことは何より緊急性があったという証だ。尖閣ビデオ事件の時の対応と比べれば、どちらが国益に即しているか、一目瞭然である。

   なお、尖閣ビデオ流出事件の時、朝日新聞と毎日新聞は、国の情報管理の杜撰さを批判して(朝日社説2010年11月17日付など)、この事案の情報公開には慎重な立場だったと記憶しているが、今回の事例と比較すると興味深い。産経新聞は、ビデオの公開には積極的だった。

   いずれにしても、なぜマスコミでこのような対応差がでるかといえば、背景としては、もちろん武器輸出三原則で「堅持対見直し」、さらに集団的自衛権で「否定対肯定」、ひいては憲法で「護憲対改憲」、という立場の差がある。

「(事件は)現場で起きてるんだ!」

   それが先鋭的な違いになるのが、実際の現場での対応である。今回の南スーダンでのように、政府の言うとおり韓国からの要請があった場合、今回の銃弾供与に慎重派では、要請を受けないか、これまでの国会答弁を検討し慎重対応するというだろう。一方、積極派は、供与しなければ韓国軍を見殺しにしたと国際的に非難されるので国際協調や人道的立場から要請を受ける、となる。

   こうした慎重派と積極派のやりとりをみていて、筆者は人気テレビドラマ「踊る大捜査線」での、有名なセリフ「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ!」を思い出してしまった。

   現場が本部会議室の指示を無視して暴走するのは、絶対に阻止しなければいけないが、緊急時に国際常識に反することを本部会議室から現場に指示するのはやめたほうがいい。

   それと、今回の銃弾供与でわかったことは、相手国の要請でもタイミングさえ間違えなければ、特定秘密でないということだ。韓国軍の銃弾不足は、ある時点まで軍事秘密だろうが、それを過ぎれば軍事秘密でもなんでもない。情報は隠さずに、うまく公開すれば国益になることがわかる。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2005年から総務大臣補佐官、06年からは内閣参事官(総理補佐官補)も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「財投改革の経済学」(東洋経済新報社)、「さらば財務省!」(講談社)など。


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