日産が自動運転を2020年までに実用化 ゴーン氏がその「工程表」示す
日産自動車のカルロス・ゴーン社長兼最高経営責任者(CEO)は2014年7月17日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見し、2020年までに実用化を目指している自動運転技術投入に向けたスケジュールを示した。
役員報酬の「もらいすぎ」批判については、幹部が他社に引き抜かれた実例を挙げながら人材確保にはそれ相応の待遇が必要だと強調した。
17年までに管理職の女性率を7%から10%に引き上げる
ゴーン氏によると、16年末までに「トラフィック・ジャム・パイロット」と呼ばれる混雑した高速道路上での自動運転を可能にする技術、ドライバーが運転せずに駐車できるシステムの2つの技術を幅広いモデルに搭載する。18年には危険回避や車線変更を自動的に行う技術を導入し、20年までに十字路や交差点を自動的に横断できるようにする。
また、17年までに国内の管理職に占める女性の割合を現在の7%から10%に引き上げる考えも明らかにした。その背景として、ゴーン氏は、
「新車購入の6割は女性。女性は一般的に言って車に何を求めているかは男性とは違う。女性がディーラーに行くと、8割は『女性に対応してほしい』と思っている」
と述べ、女性顧客にアピールするために権限を持った女性の割合を増やす必要があるとの見方を示した。
「報酬もらいすぎ」問題への説明は「儀式のようなもの」
「報酬もらいすぎ」問題に関する質問も出た。ゴーン氏は6月24日の株主総会で、14年3月期の自らの報酬は前年比0.7%増の9億9500万円だったことを明らかにしている。一連の議論について、ゴーン氏は株主総会のたびに説明を求められるとして、「儀式のようなもの」と表現。組織・人事コンサルティング会社「タワーズワトソン」のシステマティック分析に基づいて算出しているとした上で、
「日産を『単なる日本企業』だと考えることはできない。日本に本拠地を置いているが、グローバル企業。グローバルな人材を探している。先週、われわれはひとりのグローバルな人材を失った。高級車『インフィニティ』事業のトップが我々のもとを去り、キャデラックに行ってしまった。これは一例だ。あまり報道されないが、こういうことは多い」
と述べ、グローバルな人材の確保には相応の報酬が必要だとの持論を繰り返した。
日産を退社するのは、ヨハン・ダ・ネイシン専務執行役員(54)。同氏はアウディアメリカ社の社長を経て12年に日産に移籍していた。日産は高級車事業の強化を中期経営計画の柱の一つに掲げており、ゴーン氏はできるだけ早い段階で後任人事を行いたい考えだ。