社員が「失踪」 行方不明になってしまいました

2009/6/22 15:37

   こんな会社は嫌だ。もう逃げ出してしまいたい!――そんな「失踪願望」を抱いたことのある人もいるでしょう。実際に社員が失踪してしまった場合、会社はどう対応すればよいのでしょうか。ある会社の担当者は「この1週間、社員の失踪対応に追われて、ほとんど眠れていない」とため息をついています。

「自殺の名所」で発見。社員の今後の扱いに悩む

――不動産業の人事担当です。1週間前、営業部長から「部員のK君が3日も無断欠勤している」と連絡が入りました。K君は一人暮らしでしたが、携帯電話も使えなくなっていたため、上司とともに本人のアパートに駆けつけました。

   呼び鈴を押しても反応がないので、大家さんにお願いして鍵を開けてもらったところ、部屋はもぬけの殻。警察に連絡して捜索活動を始めました。ご両親も行方に心当たりはなく、友人に聞いたり、行きつけのパチンコ店に聞いたりしました。

   やっと発見されたのは、「自殺の名所」で知られる地方の民宿でした。銀行のATMで、本人の口座から現金が引き出されたことから足取りがつかめました。銀行は、親族の承諾があれば捜査に協力してくれるということでした。

   本人から聴くところによると、上司からのプレッシャーが強烈で、それに過労が重なり、職場から逃げ出してしまいたかったのだそうです。生きて発見されたことは良かったのですが、この社員の扱いを今後どうしたらよいか悩んでいるところです。

   無断欠勤したことや、失踪したことが、残された同僚の仕事面や心理面に与えた影響も少なくありません。厳しい処分が必要と思う一方で、原因を調べ、本人の心のケアもした上で職場に戻さなければ、とも思っています――

(続く)

尾崎 健一(おざき・けんいち)

臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て、2007年に独立。ライフワーク・ストレスアカデミー代表として企業のコンサルティングを行いながら、秋田大学医学系研究科で自殺予防の研究に携わっている。『ケーススタディ 認知行動カウンセリング』(至文堂)に執筆者として参画。共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

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