経済状況の悪化の影響は、リストラによる解雇や給与引下げにとどまらないようだ。職場いじめや嫌がらせ、退職の強要まで引き起こし、心の不調を訴えている人も――。各種の調査結果からは、こんな「不機嫌な職場」の実態が垣間見える。

厚生労働省は2009年5月22日、労使トラブルの調停をあっせんする「個別労働紛争解決制度」に関する実態調査の結果を公表した。これによると、各都道府県の総合労働相談コーナーに寄せられたトラブル相談は、平成20年度で約108万件に上り、前年比7.8%増で過去最高を記録した。
相談件数の内訳を見ると、「普通解雇」が46,536件で第1位。次いで「労働条件の引下げ」(35,194件)、「いじめ・嫌がらせ」(32,242件)、「退職勧奨」(22,433件)と続く。特に、退職強要を含む「退職勧奨」は、昨年比で5,000件以上増えて過去最高となっている。
また、都道府県労働局長の助言・指導の対象となった件数では、「いじめ・嫌がらせ」が997件で2位に上昇。昨年比で238件、31.4%の増加となっており、悪質なケースの急増をうかがわせる。調査結果には、次のような事例が添付されている。
事例:いじめ・嫌がらせに係る助言・指導
・事案の概要
申出人は、直属の上司から業務指示と称して暴言等を受け、出勤が困難な状況にあるため、所属事業場の責任者に職場環境について相談をしたが、改善が見られない。仕事そのものは続けたいと考えているため、このような職場環境の改善のため、労働局長の助言・指導を申し出たもの。
労働局長の助言・指導を踏まえ、申出人と人事担当責任者が話し合いを行った結果、職場環境の改善がなされた。
・助言・指導の内容
客観的に状況が判断できる人事担当責任者に、申出人の主張を伝えた上で、パワーハラスメントに関しての法的整理を説明するとともに、それを踏まえ、本人と話し合うことを助言した。
事例:退職勧奨に係るあっせん
・事案の概要
申請人は、上司から会社の退職募集に応募するよう度重なる勧奨を受けたが、退職募集に応募する意思がない旨回答したところ、「応じないのであれば仕事はない。」と通告され、退職を余儀なくされた。上司の過度な退職勧奨により勤務の継続が困難になったことによって生じた精神的苦痛及び経済的損失に対する補償を求めて、あっせん申請を行ったもの。
・あっせんのポイント
あっせん委員が双方の主張を確かめ、当事者間の調整を行った結果、解決金○○万円を支払うことで双方の合意が成立した。
(続く)
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