規制は「持てる者の惰眠」と「持たざる者の絶望」をもたらす

2009/7/28 11:31

   先日、テレビ朝日「サンデープロジェクト」の選挙特集にゲスト出演し、雇用の規制緩和(要するに正社員の一定の賃下げとリストラを認めること)が必要だと話をした時のこと。いろいろ各党の方々の話を聞いていて、雇用の大原則を理解していない政党が多いことに驚かされた。

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規制が「クビ切り」を増やすことを理解しない政党

   その大原則とは「規制によって、人件費の総額は増やせない」というものだ。たとえば、一人500万円の給料を10人の社員に払っている会社に「社員のお給料を1割引き上げなさい!」と命じることは可能だが、総額は増やせない以上、550万円の給料で9人雇うことになるだけである。つまり、予算オーバーな分はクビ切りで帳尻を合わせるわけだ。

   ちなみに、「最低賃金1000円に引き上げ」という政策も同じで、グローバリゼーションが進んだ現在、頑張って生産性を向上させようと努力する企業より、中国に発注する企業の方が多いと思われる。

   アメリカのニューディール政策時に最低賃金の引き上げが行なわれているのは確かだが、それは雇用流動化の進んだアメリカだから「高給取りの賃金を削って消費性向の高い庶民に回す」という効果が期待できるのであって、日本でやっても悪い面しか出ないだろう。

   つまり、再分配というのは、結局は正社員全体を含めた中で進めるしかなく、それには労働市場の流動化しかありえないということだ。最低賃金の引き上げは、やるとしても流動化が一定程度浸透し、さらに景気が良い時期を選ぶべきだ。

(続く)

城繁幸(じょう・しげゆき)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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