「現実世界への影響力」 ネットにはどれだけあるのか?

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   早いもので、この連載も最終回を迎えることになりました。今回はまとめの意味も兼ねて、私自身がブログを書いたり、ネット生保の経営者としての活動の中で感じた「ネットの本当の影響力」について書いてみたいと思います。

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大勢への伝播力ではネットはテレビに「まだまだ敵わない」

   まず、過去のエントリーでも指摘したことですが、多くの人への伝播力という点では、ネットの影響力はテレビと比較して極めて小さいと感じています。ネット上で記事や動画が話題になったとしても、それを知っているのは一部のヘビーユーザーだけであり、ネット外の世界で話題になることはほとんどありません。バラエティ番組がきっかけで納豆が売り切れになることはありますが、人気ブログで取り上げられたものがリアル世界で売り切れるということはあまり聞いたことがありません。

   ライフネット生命保険の経験でも、記事やプロモーションがネット上で話題になったときでも、業績を一変させるほどの事例は少ないのが実情でした(もちろん話題性が足りなかっただけかもしれませんが)。この意味で、6千万人といわれるネットユーザーも、大半はニュースをさらっと眺めたり、ネットショッピングやSNSなどを限定的に使っているだけのように感じますし、本当の意味でネットを「使いこんでいる」人の実数はそれほど大きくないように思います。

   一つの例外は、ヤフーのトップページに「保険の原価開示」のニュースが流れたときでした。このときは当社のホームページにアクセスが殺到し、波及効果もあって、申し込みは対前月比で1.5倍になりました。これは、ヤフーのトップページという媒体が、全国ネットのテレビ並みの「視聴率」を誇っているからだと考えます。

   このときの情報の流通経路を考えると、「記事がネット上に掲載→はてなブックマークがたくさんつく→話題のニュースとしてヤフートピックスへ」ということでした。言うならば、ブックマークをした一人一人のユーザーの「一票」が積み重なり、最終的にはリアルな業績拡大につながったわけです。

   こういった「間接ルート」では、ネットが現実世界に影響を与えた、と言えるでしょう。

岩瀬大輔(いわせ・だいすけ)
ライフネット生命保険・代表取締役副社長。1976年生まれ。幼少期をイギリスで過ごしたのち、開成高校を経て、東京大学法学部卒業。在学中に司法試験合格。ボストン・コンサルティング・グループ、リップルウッド・ホールディングスを経て、ハーバード経営大学院(HBS)に留学。日本人で4人目となる上位5%の優秀な成績(ベイカー・スカラー)を修めた。帰国後、元日本生命の出口治明氏と二人三脚で、今までの常識を打ち破る新しい生保会社「ライフネット生命保険」を立ち上げ、2008年5月に営業を開始した。近著に『東大×ハーバードの岩瀬式!加速勉強法 』(大和書房)、『超凡思考』( 幻冬舎、伊藤真氏との共著)。
「生活者にとって便利でわかりやすく、高品質な生命保険サービスを提供する」という理念のもと、インターネットを主要チャネルとして、新しい生命保険を販売している。既存の保険会社に頼らない「独立系の生命保険会社」として戦後初めて免許を取得し、2008年5月に営業を開始。業界のタブーとされた「保険料の原価」を開示するなど新しい試みに挑戦している。
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