「僕の健康診断の結果を漏らしたな!」とクレームを受けました

2010/1/ 7 11:20

   個人情報保護が厳しく求められるようになったことで、さまざまな迷惑行為や不安から逃れられるようになった。一方、情報の扱いに非常に敏感になっている人もいて、会社の管理部門は情報管理の重要性を認識しつつ、やりにくさを感じているところもあるようだ。

>>ヨソでは言えない社内トラブル・記事一覧

家族から「再検査しなさい」と言われて発覚

――小売業の本社総務部に勤めています。先日、支店で営業を担当している20代のAさんが、すごい剣幕で電話してきました。
「会社は、僕の健康診断の結果をなぜ漏らすのですか!」
   ひとり暮らしをしているAさんの元に、実家の母親から電話がかかってきて、「会社から電話がかかってきたわよ。ちゃんと再検査しなきゃダメじゃない」と言われたのだそうです。Aさんは、なぜ自分の健康診断の結果を会社が勝手に家族へ知らせたのか、腹が立って電話をかけてきたのです。
   調べてみると、Aさんは前回の健康診断の結果、「要再検査」の項目があり、健康診断機関から2次検査を受けるよう通知が届いていました。しかしAさんは、仕事が忙しいことを理由に、そのまま放置していました。
   そのため、本社総務部の担当から支店の総務担当に連絡が行き、本人に再三受診するよう伝えましたが、まったく従う様子がなかったため、支店から「緊急連絡先」の実家に電話をし、本人に受診を勧めるよう頼んだようです。総務部の担当に確認すると、
「Aさんは、通常は20程度の肝機能の数値が、700を超えていたんです。早急に精密検査と治療が必要という内容で、健康診断機関からも『このままでは危険だ』と言われ、しかたなく緊急連絡先に電話したんです。まったく迷惑な人ですよ!」
と憤慨していました。本人によかれと思ってやったことが、怒りを買うことになったわけです。しかし、「健康診断の結果を他人に漏らすのは、法的にも問題ある」とクレームを入れられると、本人が嫌がっているのだからまずい対応だったかなとも思います。
   ただ、従業員の健康や生命に関わることなので、「自己責任」として事務的に処理するのも無責任な感じもします。このようなとき、どうすべきなのでしょうか――

(続く)

尾崎 健一(おざき・けんいち)

臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て、2007年に独立。ライフワーク・ストレスアカデミー代表として企業のコンサルティングを行いながら、秋田大学医学系研究科で自殺予防の研究に携わっている。『ケーススタディ 認知行動カウンセリング』(至文堂)に執筆者として参画。共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

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