「あれは使えないな」 試用期間中に新人を解雇できるか

2010/7/16 15:00

   空前の就職氷河期にようやく手に入れた勤務先。しかし職場にもなじめず、仕事もなかなか覚えられない。そんな苦労をしている新人もいる。ある会社では、現場の部長から人事部に「新人が使えないので解雇して」という依頼が来たという。

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同期入社ですでに実績を上げた人もいて

――保険販売代理店の人事担当です。当社では新しい保険商品の販売に備え、今春新入社員を採用しました。新卒が10人と、経験者が5人です。試用期間は6か月ですが、すでに法人営業部の部長からクレームが来てしまいました。

「今年配属された新卒のA君だけどね、悪いけどあれは使えそうにないな。客先で商品の説明をさせても要領を得ないし、保険の設計をさせても仕事が遅い。悪いけど、試用期間が終わったら解雇しておいてもらえないか」
   教育係の主任も「覇気がないし、内気で営業に向いていないよ」とサジを投げており、営業同行にも連れていってもらえていないようです。いっしょに入社した新人の中には、すでに新規契約を取った人もおり、差がつき始めています。
   A君はおとなしい性格で、部長や主任のような典型的な営業マンタイプではないのですが、誠実な性格を見込んで採用した経緯があります。彼も、当社は営業中心の会社であることを承知で入社しているので、希望に反しているわけではありません。
   大企業であれば配置転換も考えられるのでしょうが、当社には営業以外の受け入れ先はありません。試用期間満了前に早めに解雇してリスタートさせてあげるのも、彼の人生にとってよいことではないか、という考えも浮かんでいます。
   会社に直接的な損失を与えたわけではないのですが、試用期間途中で解雇しても問題ないのでしょうか。また、どういう点に注意して手を打てばよいのでしょうか――

(続く)

尾崎 健一(おざき・けんいち)

臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て、2007年に独立。ライフワーク・ストレスアカデミー代表として企業のコンサルティングを行いながら、秋田大学医学系研究科で自殺予防の研究に携わっている。『ケーススタディ 認知行動カウンセリング』(至文堂)に執筆者として参画。共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

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