タクシー運転手に学ぶ「お得意様づくり」の奥義

2010/7/26 18:16

   岩手中央タクシーの早川さん。お客さんと車内で雑談になったとき、必ずすることがある。それは手帳へのメモだ。信号で停車したときなどを見計らって、日時や乗降場所とともに、乗客と交わした会話の内容を記録する。メモを取る理由は、

「お客様が次回お乗りになったとき、続きの話ができるようにしたいから」

「ヒアリング」ではお客の心を開かない

お得意様ができれば利益率が高くなる
お得意様ができれば利益率が高くなる

   東京など遠方から初めて来たお客さんであっても、この習慣は欠かさない。降車時には、自宅の電話番号を書いた名刺を渡し、「いつでもお迎えに上がります」という。

   ここまでされれば、次回来たときも思わず車を呼んで話したくなってしまう。実際に繰り返し指名して利用する常連客も少なくないそうだ。

   この取組みは、早川さんが個人的に「この会社を世界一のタクシー会社にしたいから」と始めたものだが、総務課の上山さんによると、会社の運転手の中には、早川さんの話を聞いてメモを真似る人も出ているという。

   どんな業種においても「自分の事を覚えてくれているんだ」という感情をお客様に持ってもらう事は、顧客満足を高める上で重要な要素だ。得意先が増えれば、仕事のロスが減って利益率を高めることもできる。

   企業や店舗のリピーター創出を支援する経営コンサルタントの一圓(いちえん)克彦氏は、早川さんが利用者の心をつかめるのは、話の持ち掛け方が絶妙だからと指摘する。

「情報を取ろうと考えると、いきなり『お名前は?』とか『出張はどれくらいの頻度で?』といったことを尋ねがちです。でも、そういう値踏みをするようなヒアリングでは、またこの人の車に乗りたいなんて思わないでしょう。何気ない普通の『世間話の続き』だから、お客さんも心を開くのです」

(続く)

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