退職者の母親が「未払い残業代」の請求を突きつけてきた

2010/8/ 6 11:08

   会社を辞めた後に、「未払いの残業代がある」と会社に請求する人が増えているようです。会社は不意打ちと思うでしょうが、心当たりがあれば無視することはできません。ある会社では、退職者の母親に駆け込まれて激しいクレームを受け、事態の収拾に戸惑っています。

>>ヨソでは言えない社内トラブル・記事一覧

「どんぶり勘定」に応えるわけにはいかないが

――飲食チェーン店の人事担当です。退職した社員A君の母親が、会社にクレームを言いに来ました。用件は、A君へ未払い残業代を即刻全額支払えというもの。
   A君は、1年半ほど前に入社。同僚たちとの折り合いが悪く、先輩社員とのトラブルをきっかけに1カ月前に退職した20代の男性です。

「息子に聞いたら、会社は残業代を全然支払っていなかったというじゃありませんか。私は家にいたから、毎晩遅くまで残業してたことはよく知っているんですよ。ホント、なんてひどい会社なのかしら!」
などと猛烈な勢いでまくしたて、勤務日と残業時間、未払いの残業代が計算されたリストを突き出しました。金額は合計150万円。帰宅時間や本人のメモから算出したとのことでした。
   当社では店舗ごとにタイムカードで時間管理をしており、それに従って本部で給与計算をして振り込んでいます。ただ、各店舗に管理をまかせっきりのところもあり、運用が不適切だったり、ルーズな部分があったりすることは認めざるを得ません。
   ただし、シフト表やタイムカード、店長の日報などを基にした試算と、A君の母親が提出した資料を見比べると、金額にかなり開きがある「どんぶり勘定」と思えてなりません。A君が出勤した記録のない日まで残業代を請求してきています。
   当社側の推計は、未払い分は20数万円で、百万円以上の水増し請求があるように思えます。こんなカネは払えないと突っぱねようとも考えましたが、そんなことをして労働基準監督署に駆け込まれてはかないません。どういう形でことを収めていけばよいのでしょうか――

(続く)

尾崎 健一(おざき・けんいち)

臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て、2007年に独立。ライフワーク・ストレスアカデミー代表として企業のコンサルティングを行いながら、秋田大学医学系研究科で自殺予防の研究に携わっている。『ケーススタディ 認知行動カウンセリング』(至文堂)に執筆者として参画。共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

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