氷河期世代は「出世しやすい」 理由は「同期が少ないから」

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   独立行政法人経済産業研究所が、「同期入社の社員数が昇進並びに賃金に与える影響」という論文を発表している。同期入社の人数が少ない世代は昇進確率が高く、賃金も高くなることが明らかになったという。

   就職氷河期で入社に苦労した人たちは、同じ理由で社内競争を勝ち抜きやすくなっているという指摘は興味深い。卒業時が不景気に当たった社員たちは、必ずしも「アンラッキーな世代」とは言い切れないのかもしれない。

実力主義の組織なら「年次」は関係ないのだが

某部品メーカーの新卒採用人数のグラフ。1994~96年と2000年に大幅に採用人数が落ち込んでいる(出典:経済産業研究所)
某部品メーカーの新卒採用人数のグラフ。1994~96年と2000年に大幅に採用人数が落ち込んでいる(出典:経済産業研究所)

   この論文は1991年から2010年までの企業内人事データを用いて、同期入社の社員数と昇進・賃金の関係について分析したもの。まず驚かされるのは、ある部品メーカーの「入社年次ごとの新入社員数」の違いの大きさだ。

   景気の良し悪しで採用数が大きく異なることが歴然としている。94~96年と2000年は、入社人数が20~30人しかおらずピーク時より100人も少ない。バブル末期の91~92年よりも、2007~08年の方が入社人数が20人ほど多いのは意外だ。

   論文では、同期入社の人数が減ると昇進の確率が上がるという発見は「キャリアの初期の段階においては、同期入社のグループが社内トーナメントを行うにあたって重要な比較対象群となっていることを意味している」と指摘している。

   実力本位の組織であれば、「社内トーナメント(出世競争)」で入社年次を問う必要はない。しかし、日本企業が年功序列式の官僚的ピラミッド組織を維持するためには、あるポストの後任は前任者より下の年次からしか選ぶことができなくなる。

   このため、同期入社が多い世代は出世競争が激しくなり、ポストに就き損ねる確率が高くなるということだ。景気のよい時代であれば、社内であぶれた社員は子会社や取引先などに「天下り」のポストが準備されたが、現在ではそう簡単にはいかない。

大企業OB「飛び級時代にはかえって不利かも」

   この論文の結論は、行き場所のなくなったバブル社員たちが「追い出し部屋」に押し込まれている現状とも合致するかもしれない。

   もっともこうした定量的な分析とは別に、実際の企業の昇進などは別の力学が働くとの見方もある。ある大企業のOBは、最近はどの大企業でも幹部社員への登用は飛び級が当たりまえになっているので、「同期が少ない」ことは必ずしも有利とはいえないのではないか、というのだ。

「中間管理職はともかく、激烈な競争に勝ち残ってきた世代の方が、役員など会社幹部にのぼりつめる社員が多い気もする。採用が少ない世代は暢気に構えていると、その後に続く採用の多い世代に一気に飲み込まれ、生き残る確率も低くなるのではないだろうか」
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