「有休5日義務付け」は不発の予感 「休めない」構造は変わらない

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   厚労省が、5日程度の有給休暇の取得促進を企業に義務付ける方針とのことだ。確かに日本の有休取得率は世界的に見ても異例の低さなのは事実で、それを引き上げさせれば実質的なワークシェアリング効果も見込めるかもしれない。


   だが、何事にもそれを成している構造的な理由というものがあって、それに目をつぶったまま「数字だけ整えるべし」というのは、お役所的発想の典型だ。というわけで実務サイドからもう少し深く論点整理しておこう。

「業務範囲の切り分けが曖昧」「効率を上げるインセンティブが弱い」

図は筆者作成。有休取得率「the Expedia Vacation Deprivation 2012」祝日「mercer.Worldwide Benefit and Employment Guidelines」労働生産性 OECD資料より2012年分の数値労働時間  OECD資料より2013年分の数値、日本のみ総務省労働力調査使用

図は筆者作成。
有休取得率「the Expedia Vacation Deprivation 2012」
祝日「mercer.Worldwide Benefit and Employment Guidelines」
労働生産性 OECD資料より2012年分の数値
労働時間  OECD資料より2013年分の数値、日本のみ総務省労働力調査使用

   まず、日本人は有休取得が低いことにくわえ、以下のような特徴もある。

・労働時間がとても長い
・労働生産性は低い
・祝日は多い

   ここから浮かんでくる平均的日本人労働者の姿は、長時間働き、有休もあまり使おうとしない一方、仕事の効率化や生産性向上にはあまり関心がないというものだ。なぜそうなるのか。理由は2点ある。


1:業務範囲の切り分けが曖昧なため、自分の担当業務を効率化できない

   残業の多い職場にヒアリングをしてみると「早く終わらせても他の人の仕事が降ってくるだけ」だの「みんな席についているので、早く終わらせても帰りにくい雰囲気がある」だのといった意見が必ず出てくるが、それらはすべて「業務の範囲が曖昧なこと」の副産物だ。


2:そもそも、賃金が時間に応じて支払われるため、効率を上げるインセンティブが弱い

   同様に「一定の残業をこなさないと生活水準が維持できないから」という意見もよくある。これは以前述べたように、多くのホワイトカラーは成果が時間に比例しないにも関わらず、無理やり時間に応じた残業代を企業に払わせている結果、基本給やボーナスが低く抑制されていることによる。早く帰った奴が損をするという残業チキンレース状態が出現しているわけだ。

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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