全国健康保険協会京都支部、精神疾患による休業・離職の実態調査結果を公表

全国健康保険協会京都支部が、精神疾患による傷病手当金データを分析し、休職者の特徴や離職傾向について調査した結果を発表しました。この調査結果は、精神疾患による休業および離職の抑制に向けた効果的な方策を考察する上で重要な示唆を与えています。
概要
全国健康保険協会京都支部は、精神疾患による休業とそれに伴う離職が企業や保険者にとって重要な課題となっていることを受け、傷病手当金データを用いた分析を行いました。この分析は、2026年5月13日に開催された同支部主催の調査研究フォーラムにて公表されました。
分析結果のポイント
今回の調査では、以下の3つの主要なポイントが明らかになりました。
(1) 20~30代のメンタル傷手申請件数が多数
年齢階級別の申請件数を見ると、男女ともに20~30代が最も多く、若年層におけるメンタル不調が深刻な課題であることが示されました。この年代は、職場の人間関係や業務過多、役割の変化などがストレス要因となりやすい傾向があります。年齢が上がるにつれて申請件数は減少しますが、50~60代でも一定数の申請が見られました。
(2) 受給中または受給終了後3ヶ月以内の離職率は男女ともに約60%
精神疾患による傷病手当金受給者のうち、受給中から受給終了後3ヶ月以内に資格を喪失(離職等)した割合は、男性が54.2%、女性が59.9%に達しました。この結果から、休職中や復職後も見据えた継続的な支援体制の構築が重要であることが示唆されます。年齢階級別に見ると、離職率は若年層と高齢層で多く、40~50代では比較的少ない傾向が確認されました。
(3) 健康経営が離職防止につながる可能性
健康宣言事業所(健康経営に取り組むことを事業主が宣言した事業所)では、男女ともにメンタル傷病手当金の受給中または受給終了後3ヶ月以内の資格喪失率が、未宣言事業所と比較して低い傾向が確認されました。さらに、性別、年齢、支給日数、事業所規模などを調整した分析でも、健康宣言事業所の資格喪失率は有意に低いことが示され、健康経営への取り組みがメンタルヘルス不調者の離職防止や復職支援に繋がる可能性が示唆されました。
調査概要
使用データ:2020年4月~2024年3月支給分の傷病手当金データのうち、傷病名がICD10分類の「F(精神及び行動の障害)」である申請書(約9,000人)が対象。加入者データ(性別・年齢)および事業所データ(事業所規模・健康宣言の有無)は2024年度末時点の情報を使用。
分析項目:「メンタル傷手の1,000人当たり申請件数」および「メンタル傷手受給中又は受給終了後3か月以内の資格喪失率」。これらは性別、年齢階級別、業態別、事業所規模別、健康宣言の有無別に集計されました。資格喪失率については、カイ二乗検定調整済み残差分析および多重ロジスティック回帰分析が実施されています。
全国健康保険協会京都支部について
名称:全国健康保険協会京都支部
代表者:支部長 守殿 俊二
所在地:〒600-8522 京都府京都市下京区四条通麩屋町西入立売東町28-2 大和証券京都ビル2階
まとめ
全国健康保険協会京都支部の調査により、若年層における精神疾患による休業の多さや、傷病手当金受給者の高い離職率が明らかになりました。一方で、健康経営への取り組みが離職防止に繋がる可能性も示唆されており、企業にとって従業員のメンタルヘルスケアと健康経営の推進が、持続的な組織運営のために重要であることが強調されました。
関連リンク
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/disclosure/statistics/forum/no12/